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第一部 5話 【ミッキーの悲劇、そして再びBEE。】
[ハラベエさんの犬星☆猫星(第一部)]
2009年11月11日 4時27分の記事

ハラベエさんの犬星☆猫星
=BEEとハラベエの愛の物語= 作・原  兵 衛 

第一部 5話 【ミッキーの悲劇、そして再びBEE。】

第5話更新しました♪



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ハラベエさんの犬星☆猫星
   =BEEとハラベエの愛の物語= 作・原  兵 衛 

第一部 5話 【ミッキーの悲劇、そして再びBEE。】

 前章のミュウに引き続き、カレらの死を語ることになりますが、これにはハラベエさんのこだわりがあるのです。  
 ミヤコ蝶々邸の一族や、ハラベエさん自身の身の回りでの、カレらの消長に大きな影響を受けています。
「カレらはどこから来たか、カレらは何者か、カレらはどこへ行くのか」
 ハラベエさんにはゆるがせに出来ぬ大命題に思われるのです。
 
クーちゃんの子供たちは日に日に成長し、それぞれの身の振り方を考えてやらねばなりません。 
急を要する事情もあります。
近所に、猫嫌いの老人がいるのです。
もともと、猫が屯(たむろ)しているのを難詰(なんきつ)しに現れていたのですが、このごろではご近所にかげぐちを、言うて廻っているようです。
何か実害があるならともかく、取り合わずにいました。
しかし、ご近所とのもめごとはなるべく避けたいという思いもあります。
そんなある日、一匹の仔猫がまぎれこんできました。
それこそ、カレはどこから来たのか……です。
カレは何者か……三毛の男の子でした。
古来、三毛猫の男の子は数が少なく、帆柱につないでおくと、どんなしけのときでも難破を免(まぬが)れるというので、帆掛け舟の守り神として珍重され、船頭たちが大枚を投じて争うように買い求めたので、値段が高騰したという話もあるぐらいです。
金に眼がくらんだわけではなく、そんな珍しい子が、迷い込んできたのも何かの縁だからと、置いとくことにしました。
もちろん、迷子かもしれませんので、張り紙も注意して見て歩きました。
どこからも捜索願は出ていません。
数日間、下で紐につないでおくことにしました。
抱いて降りたノンと、顔をあわせたミッキーが気色ばみ、ノンも、うなり声を上げてにらみあったからです。
慣れるまで間を置くことにしたのですが、つながれても嫌がらず、おとなしく犬小屋の暮らしを楽しんでいるようにも見えました。
付けた名前はミッキー。
ミッキーは、ここに来るべくしてきた子だと思えば可愛さが倍増します。
クーちゃんやその子供たちとも仲良くしていました。
が、突然悲劇が……。
クーちゃんの子の一人が、血を吐いて斃(たお)れたのです。
半日後、一日後と続いて、残る三人の子が斃れました……明らかに毒物によってもたらされた死と思われる状況でした。
不幸中の幸い、クーちゃんに異常はなく、ミッキーも元気です。
しかし念のため、ミッキーを二階に上げることにしました。
夕方最後の子の亡き骸を、みんなと同じ花壇の薔薇の根方に埋めました。
ミッキーをしばらく一人にさせておく籠を用意し、迎えに降りていったママの絶叫が聴こえました。
「ミッキーが死んでる、ミッキーがぁー!」
 急いで降りてみると、ミッキーは血反吐を吐いてもう息絶えていました。
「殺されたんや!」
 やにわに駆け出そうとするママ。
「畑を、黄色い猫に荒らされた言うてたそうや……そやからミッキーが狙いやったんや……」
 その噂のことはハラベエさんも知っています。
 老人の家の家庭菜園を、ミッキーらしい猫に荒らされたというのです。
 紐をはずさなければ歩き回れるはずはなく、それができるのはパイロットのショウちゃんぐらいなのにです。
 濡れ衣ですが、怒鳴り込んで行っても、知らぬ存ぜぬで突っ張られたらおしまい、むしろ逆ねじを食わされるのがオチでしょう。
 確証はないのだからというハラベエさん。
それに、どんなに嫌いでも、毒物をつかってまで殺そうという気になるとは、信じられない、いや信じたくはありません。
……やがてママも落ち着きを取り戻しました。
 後日、菜園の横を走る道路で、その辺りにまだ棲息している鼬(いたち)が車に轢かれて死んでいました。
 ミッキーの濡れ衣は晴れましたが、その命は失われたままです。
ところが、その日以来クーちゃんの姿がありません。
大小の黒い猫が連れ立って歩いているのを見たという話もありました。
 しかしそのまま、現れることはなかったのです。
 子どもたちの非業の死を目のあたりにして、クーちゃんとカレは絶望のあまり……と、あくまでも人間的なとらえ方をするハラベエさんでした。
それにしても、ミッキーの死は衝撃的でした。
 どこから来たのか、何者なのか、どこへ行くのか。
 このとき、ハラベエさんの胸中を、いつかはこの大命題に取り組むときが来るという思いが、密かによぎっていました。
 これはとりもなおさず、ハラベエさんの心身に微妙な揺れが生じてきたという証左でもありましょう。

この出来事があった翌年。
 BEEに異常が見られるようになりました。
 もともと唾液(だえき)腺(せん)の不具合で、生後一年目ぐらいから、顎の下にしこりができたのですが、それが日を追ってだんだん大きくなり、ゴルフボール大の玉をぶら下げている状態になりました。
 病院に通っての治療の結果、しこりが消えたのは半年後、それ以来数年は、元気いっぱい走り回るBEEでした。
 もともと、がっちりとした骨格のBEEですから、もう大丈夫と胸をなでおろしたのです……が
 やがて、BEEとハラベエさんの愛の物語の、悲しいクライマックスが訪れます。
 八歳の春を迎える頃、BEEの体調が急激に変化したのです。
 動きが鈍くなり、足元も定かでなく、食欲の減退が顕著でした。
 病院での診断はヘルニア。
 フローリングで育てるとヘルニアになりやすいという説もありますが、思い当たる節があります。
 動きが鈍くなったBOWやLOVESに比べて、活発に動き回るBEEは滑ったり転んだりで、その分足腰に余分な負担がかかっていたようです。
 果たしてそれが原因なのか、説明を聞いてもよくわかりません。
 他にも違う病巣があるといわれ、通院する日が続きました。
 いつもはどこへ行くにも、自転車の前かごに乗って颯爽と風を切っていたBEEでしたが、もうその体力はありません。
 春とはいえまだ冷たい風から守るため、ダウンジャケットの懐に抱いて、かなりの距離を歩いて通院しました。
 痩せてはきていましたが、頑丈だったBEEの体は持ち重りがします。
 だんだんずり落ちていくBEEを抱きなおすたびに、ハラベエさんを見上げる瞳に、あの癒しの眼の輝きはもうありませんでした。
 切なくなって抱きしめると、低いうなり声がもれます。
それが体を走る痛みのせいだと気づき、力を抜くとBEEはまたずり落ちそうになります。
 抱きなおしては頬ずり、ずり落ちるBEE……また抱きなおし、と繰り返しながら長い病院への道を歩き続けました。 
 通院がしばらく続き、注射が効いたのか、快方に向かうかと見えましたが、まさにろうそくの最後のひと燃えでした。
 もうしなくなっていた、テーブルの上への飛び乗りを決行しました。

※最後にとったBEEの写真↓

(ボク、ホラ、ゲンキヤデエ……)
とでも、言ってるようでした。
 その目に、輝きが戻っているようにも思えます。
 しわがれたような声で、二度三度吠えました。
 BOWたちも含めて、家中の意識が集中します。
 だが、BEEの、わずかに残った力を振り絞っての演技はそこまででした。
 その場にくず折れるBEE。
 その後は、何か与えようとしても歯を食いしばり、食べ物も薬も、水すら受け付けようとはしません。 
 その状態で何日か過ぎました。
 瞳の奥の光が日に日にか細くなっていくようです。
「BEE、しっかりしろよ……お医者さんに行こうか」
 と、壊れ物でも扱うように、そっと抱き上げるハラベエさん。
 無駄とはわかっていても、そう言わずにはいられないのです。
BEEは声にならぬ声で何かを伝えたいのか、うつろな眼で見上げます。
(オトウサン、モウエエヨ……ムリセントイテ)
 とでも言ってるようです。
 保険がなく、人間の治療費に比べると格段に高い出費に、ちらとぼやきが出たことのあるハラベエさんにはそう聴こえたのです。
忸怩(じくじ)たる思いのハラベエさんでした。
 横から、優しいけれど強い意志が感じられる手が伸びて、BEEを抱き取っていきました。
 ママです。
 ここからは、冒頭にお話ししたとおりの展開になっていくのです。
 翌日、動物霊園の車が、BEEの遺体を引き取りにきました。
 箱型の小型トラックで、遺体を安置し、ご焼香もできるようになっています。
 近所の奥さんや子供たちも寄ってきました。
 前の晩、出かけるつもりでしたが、なんとなく出そびれたハラベエさん、焼香を済ますと少し離れて、トラックでのお葬式を眺めていました。
 ご焼香の間、ママはBEEの体を撫でさすり泣いていました。
火葬場でよく眼にする光景だなと、ママの姿を見て思ったそのときです。
 ショウちゃんが走ってきました。
 そして、ちょうど一通り焼香を終えた後の荷台に足をかけ、二声三声吠えました。
 そういえば、散歩の途中ショウちゃんと会うと、一番嬉しそうにじゃれていったのはBEEでした。
 ショウちゃんは、こどもをあやすように相手をしてくれたものです。
 止め焼香だな、ぴったりだとハラベエさんは思いました。
 いつもは敬遠がちにはなれていくのに、ショウちゃんはハラベエさんのそばにオスワリをして、頭を撫でられじっとしていました。
 ショウちゃんと、何か深いつながりがあるような気がするハラベエさん……
まだ漠然とですが……。
 トラックが走り出すと、おとなしく後を追いました。
いつものように、箱型のトラックに喧嘩を売るショウちゃんの姿はありませんでした。
おくりいぬなのでしょうか、ショウちゃんは……。
BEEの死後、ハラベエさんの仕事にかこつけての外出が増えました。
BOWやLOVESには求めることのできない、あのBEEの癒しの眼がないと、ますます家での居心地が悪くなるのです。
そんな時、カレらに関する、ハラベエさんの死生観を変えてしまう人物が現れます。

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シーズの愛犬BEEとハラベエを取り巻く生き物たちとの、
出会いと別れを描いた感動、ファンタスティック・ノベルです。

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