第四部 8話【ハラベエの学生時代3】 | |
[ハラベエさんの犬星☆猫星(第四部)] | |
2013年8月11日 1時53分の記事 | |
ハラベエさんの犬星☆猫星 =BEEとハラベエの愛の物語= 作・原 兵 衛 第四部 8話【ハラベエの学生時代3】 UPしましたー見てね(。・ ω<)ゞ♪ ☆今回のお知らせイラストは 【子猫のイラスト】です見てねー(´∀`)ノ
☆【第0部】 【1P】 ☆【第一部】 【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】【12P】 ☆【第二部】 【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】【12P】【13P】 ☆【第三部】 【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】 【12P】 ハラベエさんの犬星☆猫星> =BEEとハラベエの愛の物語= 作・原 兵 衛 第四部 8話【ハラベエの学生時代3】 病院での作業から解放されて、クマサンとの交流の時間が増えました。 流石は、若手とはいえ雑誌記者の端くれ、クマサンの交友範囲は広がり、ハラベエさんは喜々として付き従ったものでした。 その頃、ハラベエさんの興味を惹いたのが、新宿のフランス座……後に改称して新宿ミュージックホールとなったストリップ劇場です。 いわゆるストリッパーと称するする女性に惹かれて入ったハラベエさんでしたが、興味は次第に、共演者のコメデイアンに集中していきました。 女性の裸が目当ての客ですから、男のコメデイアンは不要、ストリップの合間に登場するとブーイングが沸き罵声が飛び交います。 それでも、倦まず弛まず、ひたすら演ずるカレラに、友情みたいなものを感じました。 やがてカレラの努力が認められ……観客はカレラの登場を拍手で迎えるようになりました。 そして、ハラベエさんの授業料を納入するだけで0単位の大学生活が五年目の時、転機がやってくるのです。 新宿ミュージックホールのコメデイアンの座長格、大きな目と口、エネルギッシュなな演技で、舞台狭しと走り回ってのギャグの連発が売り物の石井均さんが、新宿角筈に新設された「松竹演芸場」の常打ち劇団を結成したのです。 『石井均と 笑う仲間』 主要メンバーは、ミュージックホールでの古い仲間でした。 石井均 大分県出身で、兵役経験者。戦後は、九州時代に、宮城まり子楽劇団などの劇団に籍を置き、日舞洋舞に限らず研鑽を重ね、演技に磨きをかけ、独立して東京進出を目指した。多くの先輩に教えを請うたが、中でも黒木憲三氏に特に私淑し、弟弟子に元「てんぷくトリオ」のリーダー三波伸介がいる。 戸塚睦夫、ムッチャンニイチャン。元剣劇の座員、石井さんのマシンガントークや鋭い突っ込みに見事応えるボケ専門、副座長格。 山口勝 ヤマチャンは学徒出陣で兵役経験者、元大映のニューフエイス、温厚な性格、座長を補佐して座内をまとめる、老け専門。 由利京子 ユリサンは女優の筆頭、タップダンスの名手でもあり、笑いのとれる演技派、後にハラベエさんと結婚、女児二人を授かる。 谷崎洋 ヤマチャン、文芸部と称する座付き作者、実父も戯作者だったので、抽斗が豊富、テレビのコント作者としても活躍した……山崎博史。後にベテラン女優桜緋紗子の娘さんと結婚。 武山洋子 武山さんは東宝系の劇団に所属していたが、中老けの役どころで活躍。 財津肇 ザイッチャン。後に財津一郎と改名、その後の活躍はよくご存知でしょう。 伊藤証 イトウチャン、伊東四朗と改名したが、今や旧名通りイットウショウの地位にある。 糸美智子 イトチャン。新人ながら娘役に抜擢された。 佐々木迪子 飛び込みの道産子、役どころはチョコ三。 高田悦平 エペロー元魚屋の若い衆、座長に弟子入り。 橋本久明 キュウメイ。研究生、音楽・音響を任されていた。 このほか、若干のベテラン、新人の出入りがあったが、レギュラー・メンバ ーとしてはこんなものでした。 大学を続ける意志が、全くないハラベエさん、クマサンが雑誌記者として、 座長から好意的な処遇をうけていたのを利用して、紹介の労を取ってもらい、 やがて座員のはしくれとして正木明と名乗り末席に連なることになりました。 文芸部員としても、もう一人劇団に出入りしていた、野母三(みすじ)なる若い物書きと、谷崎を中心に台本制作に従事した……といっても、谷崎が持ち込む古い脚本に現代風な手を加えたものを、ガリ版に刻んで、謄写版で刷る単純作業、休憩中の楽屋では、誰かが志願してガリ版に取り組んでいました。 十日代わり一月に三回の公演は多忙を極めます。 ガリ版刷りの台本が出来上がるのは千秋楽の間際ですから、現在進行中の芝居の合間に打合せ程度の読み合わせ、舞台稽古は楽日の深夜です。 ほぼ徹夜の稽古が終わり、眠い目をこすりながら出ると、新宿の街はもう明けています。 疲れ果てた心身に、新宿の町並みは、昂揚感を与えてくれるというか、新しい道へ挑戦を始めたハラベエさんに、激励の言葉を贈ってくれたようです。 楽屋で暫し仮眠後、三々五々外出する座員たち。 ヤマチャン、ユリサンにハラベエさんを含む何名かの足の向く先は決まっていました。 伊勢丹の並びの、確かモンブランでしたか、洋食屋さんで、オーダーするのは決まって海老フライでした。 日頃は貧弱な食生活を送っていました……楽屋での食事は、小銭を集めて若手が買い求めてくる、劇場に近い丸物ストアーの食料品でした。 五円十円の釣り銭の多寡でよく揉めていたものですが、真からみみちかった訳ではなく、貧しさも笑いのオブラートでひっくるむ集団でした。 他にも複数の劇団が出演していましたが、年中無休の常打ち劇団は我々だけ、次第に観客も増えている、劇場の人気を支えているという自信に満ちあふれていました。 制作費が少なく、髷物(時代劇)は数ヶ月に一回だけ、おおよそは現代劇でしたが、それも衣裳はほぼ自前です……といってもろくな自前はありません。特殊なものは衣裳会社のお世話になりましたが、 『マー坊、次の芝居の二枚目はいいとこの坊ちゃんだ、おまえいい背広持ってるから二枚目行け』 と、自前の服で配役が決まる……なんて時もありました。 楽屋での生活は、ハラベエさんにとって目新しいことが多く、遠い昔のことですが、その頃の経験はその後のハラベエさんの幕内の生活に大いに役立ってきました。 一日は、エペローとキュウメイの三人が交代で勤める早出の仕事から始まります。 楽屋の清掃、座長の化粧前の整頓、水を換え(とのこ化粧なのでとのこを溶く水を毎日替える)トロ拭き(化粧落としのガーゼ)の洗濯、破損した小道具類の修理、と多忙を極めますが、他の座員が楽屋入りする頃には、化粧を済ませ、既に進行中の前座の芸人さんの高座の邪魔をせぬよう、舞台装置を組み立てる舞台係の手伝い、開幕が迫ると衣裳に着替え、楽屋と同じ階の調光室・ミキサー室にテープをスタンバイ。 ☆【第0部】 【1P】 ☆【第一部】 【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】【12P】 ☆【第二部】 【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】【12P】【13P】 ☆【第三部】 【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】 【12P】 ランキング参加中 ポチっとお願いします〜(*´д`*)ノ くる天 人気ブログランキング フルーツメール | |
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1. つねさん 2014年10月9日 16時38分 [返信する] こんにちは。 スペースお借り致します。 お友達がたくさん出来て、投稿に参加する度ごとに直筆のカード式のファンレターが3〜30枚以上届く文芸サークル(投稿雑誌)をやっています。 ネットでのやりとりも楽しいですが、ぬくもりが伝わるアナログでの活動は温かい気持ちになり、楽しさや幸せをより感じられます。 イラスト・詩・漫画・小説・エッセイなどジャンルを問わず何でも掲載しています。 月刊で150ページくらい。全国に約180人の会員さんがいます。 あなたがブログで発表している作品を雑誌に掲載してみませんか? 東京都内で集会も行っています。お友達や創作仲間作りにご活用下さい。 興味を持たれた方には、現在雑誌代と送料とも無料で最新号をプレゼントしています。 よろしかったらホームページだけでもご覧になって下さい。 ホームページにある申込フォームから簡単に最新号をご請求出来ます。 http://www2.tbb.t-com.ne.jp/hapine/ これからもブログの運営頑張って下さい。 失礼致しました。
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