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《日本の政治》 なぜか同じ記事が出るという作為
[日本の政治]
2021年11月23日 23時50分の記事

先の大戦で日本を破滅に向わせた最大級のポイントの一つは日本の傀儡国家・満州国です。その満洲国には『弐キ参スケ』という有名な言葉がありました。この言葉は満洲国の立役者5人衆を指す言葉です。その5人衆とは東条英機(キ)、満洲国行政の事実上のトップである星野直樹(キ)、アベ氏の祖父・岸信介(スケ)、その親戚で国際連盟脱退で有名な松岡洋右(スケ)、日産の鮎川義介(スケ)です。『参スケ』はともに山口です。この中の星野直樹はA級戦犯となるも戦後はダイヤモンド社の会長になります。そのダイヤモンド社が以下のような記事を11月23日に書いています。

「『安倍晋三が担ぐ高市早苗』が安倍派でものすごく嫌われる理由」(2021年11月23日 ダイヤモンド)

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この記事のポイントは以下の通りです。


  •  アベ氏は首相退任後の「令和のキングメーカー」として君臨できるかと言えばそう簡単ではない
  •  アベ氏は首相の岸田氏から距離を置かれ始めている
  •  アベ氏はタカイチ氏を推していることによって「ポスト岸田」をにらむ勢力から板挟み状態にある
  •  アベ氏は保守派の代表格といえども求心力を失いかねない


アベ氏はタカイチ氏を担いだことによっていずれかなり悪い状態になると考えます。アベ氏がタカイチ氏を担いでいることが世間からどう見えるかをアベ氏はわかっていないと考えます。そのことが致命傷にきっとなるでしょう。
それはさておき、このダイヤモンドの記事では、アベ氏が結構、不安定な状態にあることが描かれています。そのことの根拠となっているのが、記事中の以下の記述です。この部分がこの記事のポイントになります。


11月17日、安倍氏は「すきま風」が吹いている岸田首相を衆院議員会館の事務所に迎え入れ、外交や経済政策などについて約30分間の意見交換を行った。しかし、その6日前に菅義偉前首相が首相官邸に出向いて岸田首相から「厚遇」を受けたのとは対照的だ。
宏池会所属の中堅議員は「安倍氏はタカ派の代表格で、ハト派の岸田氏と本質的に合うはずがない。安倍氏が『党内最大、最大』というから、反目に回られない程度に岸田氏が出向いて行ったということではないか」と推し量る。2人の距離感はなかなか縮まりそうにはないのだ。


ここで言われていることは、『岸田氏はアベ氏よりもスガ氏を厚遇している、二人には隙間風が吹いていて距離は縮まりそうにない、アベ氏はタカ派で、岸田氏はハト派』ということですが、ここがこの記事のポイントなのです。
しかし、実相は全然違うと考えます。そもそも、アベ氏が議員会館で岸田氏に会ったということは、明らかに意識的にアベ氏と岸田氏側がオモテに出している情報なのです。二人が秘密裏に会うことや会話することはいくらでもできます。であるのに、このような『会談』を敢えてセッティングして、オモテに出すのは、そこに思惑があるからです。
それでは、それはどのような思惑か? それは上述した『岸田氏はアベ氏よりもスガ氏を厚遇している、二人には隙間風が吹いていて距離は縮まりそうにない、アベ氏はタカ派で、岸田氏はハト派ということ』を印象づけることです。それを意識的に出していると言うことは、実際は反対と言うことなのです。

◎ アベ氏の情報の出し方を見直す
アベ氏とはこのような情報の出し方をするのです。
昨年8月28日にアベ氏は病気での辞任発表をしました。そのようなことは今やウソとしか思えない状況です。自民党最大派閥のトップとなり、名実共に自民党の最高実力者になっているわけで、この1年、アベ氏の健康不安を一切聞いたことがありません。
9月5日の本ブログ「《日本の政治》日本の民主主義政治の最大の問題点を示したスガ退陣 その2 (2)」では以下のように書きました。


丁度一年前、本ブログ「アベ氏はやはり意気軒昂 (2)」(2020年9月14日)を書きました。アベ氏が病気で退陣するというとき、アベ氏は元気ハツラツと書いたわけですが、実際、以下の今年9月3日の週刊現代の記事には、当たり前のようにアベ氏の元気はつらつさが冒頭から書かれています。今さら言うまでもないことですが、基本的には常にアベ氏にはウソがつきまといます。そういう前提ですべてを観なければならないのです。記事にあるようにアベ昭恵氏もアベ氏は『お芝居がうまいから』と言っているほどなのです(笑)。

「安倍晋三『菅おろし』の全内幕…『主人はお芝居がうまいから』と昭恵夫人は笑った」(2021年9月3日 週刊現代)


このように、私は昨年から「アベ氏はやはり意気軒昂 (2)」と書いているわけで、アベ氏が自民党の最高実力者になっている現状は当然の帰結でしかないのです。ですから昨年、アベ氏は『持病の仮病が悪化した』くらいにしか思っていません。
したがって、アベ氏の情報の出し方を観るためには、昨年8月28日、アベ氏が仮病で、否、病気で辞任表明をするまで、どのような情報の出方をしたのかをよく見る必要があるのです。
それでは観てみましょう。
まず、昨年8月5日(4日発売)のFLASHで以下のように『吐血情報』が出ます。

「“死に体”安倍内閣を追撃…永田町に広まる『首相吐血』情報 」(2020年8月5日 Smart FLASH)

その後、8月16日、以下のように甘利氏がアベ氏を休ませるようにとテレビで発言します。

「甘利氏、安倍首相を『休ませて』」(2020年8月16日 共同通信)

その翌日の8月17日、以下のようにアベ氏が大学病院に入るという情報が出ます。

「安倍総理が都内の大学病院に入る」(2020年8月17日 テレビ朝日)

そして、以下の記事のようにように、マスコミでは一気にアベ氏の体調が焦点となります。
アベ氏の体調については「吐血情報については菅義偉官房長官が『まったく問題ない』と否定し、日帰り検診も、側近らが『体調に万全を期すための検査』と力説した」(2020年8月19日 東洋経済)とあるように、体調に問題なしという情報を首相周辺は出しますが、そのように言うとなおさら焦点になるのです。

「安倍『体調不安説』に永田町がざわめき始めた 慶応大学病院『日帰り検診』に広がる臆測」(2020年8月19日 東洋経済)

その後の8月24日、再度、アベ氏は慶大病院に入ったと報道されます。しかし、官房長官のスガ氏は『追加検査』に過ぎないと応えるわけです。

「安倍首相、再び慶大病院に入る 菅長官『追加検査と』」(2020年8月24日 朝日新聞)

そして、8月28日に辞任発表となるわけですが、8月24日にはアベ氏は叔父さんの記録を破って首相として連続在任最長となり、記録達成となったわけです。

「安倍首相、連続在任最長に 2798日で佐藤栄作氏に並ぶ」(2020年8月23日 日本経済新聞)

この昨年の経緯を現在から見ると、明らかに8月に入ってから、首相連続在任最長記録を樹立したのちに病気で辞任というシナリオで動いていることがよくわかります。その際、まず、雑誌媒体から火付けの記事がでて、そのあとはマスコミに取り上げられるように敢えて『見えるように』動くわけです。そして、世間の憶測とは反対の情報を出して、火に油を注ぐわけです。
このようにして、病気で辞任するという世論誘導をして、その辞任を正当化するというやり方をするわけです。
この昨年の一連のことは、良く踏まえる必要があります。なぜなら、アベ氏は現在の日本の政界の最高実力者だからです。今後、アベ氏は他のやり方をするかもしれませんが、典型的なパターンはおさえておくべきでしょう。

◎ 何が目的か?
そうなると何が目的で『岸田氏はアベ氏よりもスガ氏を厚遇している、二人には隙間風が吹いていて距離は縮まりそうにない、アベ氏はタカ派で、岸田氏はハト派という』情報を出すのかということがポイントになります。
それは簡単で、基本的に以下のことをカモフラージュするためと考えます。


  •  アベ氏が自民党の最高実力者であること
  •  岸田氏との間に隙間風は吹いておらず、岸田氏は最高実力者のクグツ(傀儡)であること
  •  岸田氏はハト派ではなくタカ派であること


これは来年の参院選と憲法改正に向けた世論誘導と考えます。アベ氏が前面に出ると世論の反発が強いと言うことはわかっているのでしょう。

◎ 同論調の記事が同日にでる不思議
上記のことをカモフラージュすると言うことは、このダイヤモンドの記事と同じ主旨の記事が一斉に出始めていることからも判断できると考えます。
そのような同論調の解説記事が一斉にでるというのは、明らかにおかしく、そこに作為があるのは当然と考えます。つまり出本は同じと言うことです。
その記事は、現状、以下の日刊スポーツとアエラの二つです。ダイヤモンドと同じ日に同じ内容のこの種の解説記事が出るというのは、恐らく背景が同じだからと考えます。どんな背景かを良く考えましょう。

「【政界地獄耳】安倍派最初の総会を会長ドタキャン欠席の内情」(2021年11月23日 日刊スポーツ)

「安倍氏の『焦り』にじむ? 30年ぶりに安倍派復活 岸田首相は外相人事で『最大の牽制カード』」(2021年11月23日 アエラドット)

政界地獄耳とアエラは、先の衆院総選挙のあと、いち早く、立民・共産を中心とする野党共闘を否定する論調を出した媒体です。このようなことと関連して、上記のアベ氏に関わる記事が、この二つの媒体から同日に出てくるものと考えます。
政界地獄耳のコラムは、3日間で消されてしまうので、全文を以下に貼り付けておきます。


【政界地獄耳】安倍派最初の総会を会長ドタキャン欠席の内情

★自民党細田派は11日の総会で元首相・安倍晋三の派閥復帰と会長就任を決めた。安倍はあいさつで、「党内最大の政策集団として責任を果たしていく決意だ」と語った。ところが安倍派になって最初の総会が18日に行われたが、なんと安倍自身がドタキャン欠席したのだ。臆測が流れたが、派内の大筋の見立ては「派閥の会長になったものの、派内ではあまり歓迎されていない。長期政権を終えた後も派閥の会長になって権力を行使しようとする権力欲にうんざり」というもの。
★あれほどの栄華を誇った安倍政権だが、今後はキングメーカーになって院政を敷くというより、まだ前面に出たいという思いがあることへの反発のようだ。「当然だ。派内には前政調会長・下村博文、経産相・萩生田光一、元防衛相・稲田朋美、それに派閥の事務総長となった前コロナ相・西村康稔、それに加えて党総務会長・福田達夫が加わる総裁候補を多く抱える。ところが派閥の会長に安倍が収まればこの中から安倍が指名していくことになる。やり方を間違えれば最大派閥も福田系と安倍系で分裂しかねない。それくらい安倍の派閥領袖(りょうしゅう)就任は刺激的なのだ」。
★それに拍車をかけるように22日に全国の新聞に配信された共同通信論説委員のコラムが「まだやり足りないのか。『大宰相』は『闇将軍』になるべきではない」と手厳しい。ほかにも「権力行使が自己目的化しまるでゲーム感覚だ」「3代続く世襲政治家である安倍氏には『家業』同然かもしれないが国会の議席は公器だ。頂点を極めた人は、たとえやり残したことがあったとしても潔く、誇り高く後景に退くべきだ」と派内や党内の空気を伝え、引導を渡している。(K)※敬称略

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○ 『餓死した英霊たち』

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先の大戦も、現在も日本国民を大切にしない政治。この2冊がそのことを雄弁に物語ります。

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○ 『この国を縛り続ける金融・戦争・契約の正体』



内容は今まで見たことのない国際情勢と世界史の分析で、2024年の世界情勢の根本要因が書かれています。この本とザ・フナイの連載をトータルで読むと、ロシア・ウクライナ情勢、パレスチナ・イスラエル情勢及び中東情勢、東アジア情勢など現在の世界情勢の本質が見えてきます。もちろん、日本国内の情勢も見えてきます。内外情勢は決して別々ではない。
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プロフィール
片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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