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米国大統領選挙 すでに確定的と言えること?
[日本の政治]
2020年11月7日 23時58分の記事

「米国大統領選挙 すでに確定的と言えること?」(2020年11月6日)

(※ 本記事は掲載から1週間が経つと有料記事になります)

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新型コロナウイルスがなければトランプは圧勝していた
ただ、もう一つ非常に大きなポイントがあります。それは、このようなトランプの新型コロナウイルス防疫対策失敗という自爆によって、バイデン圧倒的有利という事前予想であったにもかかわらず、結果はものすごい激戦になったことです。2週間ほど前の事前予想では、バイデン圧勝でしたが、みるみるうちにトランプが追い上げて、現状になっているわけです。
もちろん、これは新型コロナウイルス問題が軽視されたことを意味しません。このことが意味することは、新型コロナウイルス問題でのトランプの失策・自爆にも関わらず、バイデンには問題点が存在することを端的に表しているということなのです。トランプ政権の新型コロナウイルス対策はあまりにも問題だが、それでもバイデンは嫌だ、トランプの方がまだマシという方向性があったということです。
また、トランプの新型コロナウイルス防疫対策失敗という自爆によってバイデンが圧倒的に有利になったのは、もとはトランプ支持者でもこの防疫失敗によってバイデン支持に回った人々が非常に多かったことによります。
このような支持の動向が示す本質的なことは、2016年のときよりも、世論におけるトランプを選出した方向性は強固になっているということです。その方向性とは、ラストベルト、世界の警察官からの離脱するという方向性ですが、それが4年後の今はさらに強まったと考えます。
11月5日のテレビ朝日『報道ステーション』の報道の中で、ミシガン州デトロイトの市民(恐らくバイデン支持者)が「現時点でトランプ支持者が2016年よりはるかに多いのは皮肉だ。私たちの国は以前よりさらに分断した国になりつつある」といっている部分がありますが、このコメントは非常に重要です。ミシガン州はバイデンが制していますが、それでもこのようにトランプ支持者が増えていると言っているわけです。まさにこれは4年前のトランプ大統領を生み出した世論がより大きくなっていることを示しています。そしてその実相は、単なるトランプ支持派ではなく、もっと深い意味があると考えます。

米国の本当の争点と世論動向
この傾向には、上述のラストベルト、世界の警察官からの離脱の他に、人種差別的に見える方向性(反逆差別)や保守的な動きがありますが、その本質は行きすぎたリベラリズムへの反発にあると考えます。リベラリズムを否定はしないが、行きすぎに嫌悪するということです。
そして、これらのことに共通する核心は生存の危機感で、白人層を中心としてこの危機感が存在すると考えます。このことがかくれトランプの本質であり、一方で反新自由主義的な動きにも繋がり、そしてトランプの目茶苦茶な新型コロナウイルス防疫対策への反感となっていると考えます。
ラストベルト、世界の警察官からの離脱、反新自由主義、行きすぎたリベラリズムへの反発、トランプの目茶苦茶な新型コロナウイルス防疫対策への反感、これらすべては白人層の生存に関わっているということで、このことが米国の本当の争点なのです。
そして、その生存に最も関わる疫病の蔓延について、トランプはこともあろうに逆方向に暴走して最悪の結果を招いたのですから、それは選挙に負けるに決まっています。完全にトランプ陣営が読み間違えた結果ですが、それはトランプの政治家としての限界を示しているのかもしれません。その心は、政治家の最大の核心であるべき国民の命(平和と安寧)を最優先に考えることが思考の根本になかったということです。

バイデンの問題点
ただ、バイデンがこの国民の命(平和と安寧)を最優先にするというメッセージを出しているかと言えば、実はそうではないわけで、だから激戦になったわけです。むしろ、バイデンはトランプの自爆・オウンゴールによって浮上しているだけで、その実はこのような根本的なメッセージをまったくといって良いほど出していません。当然、ここが今後最大のポイントになります。『現状』、彼が良い大統領になる要因は何も見いだせません。
したがって、米国大統領選挙について確定的に言えることは、新型コロナウイルスが発生していなければ、トランプ再選は固かったということです。また、トランプが自然感染による集団免疫獲得というキチガイじみた方向に動かず、防疫で一定の成果を上げていれば、当然、圧倒的勝利を手にしていたことでしょう。これは今年4月の韓国総選挙で、文在寅政権が新型コロナウイルス防疫対策で成果を上げて与党が圧勝したことと同じです。トランプ政権が今年の前半で新型コロナウイルス防疫対策で成果を上げていれば、今年の大統領選挙は8月にトランプの事実上の不戦勝となっていたことは間違いありません。
感染症、疫病が蔓延している状態では、政治の最大の問題はこの疫病ですし、それを抑えることが政治の最大の使命なのです。これは生存に関わることですから、当然、国民が求める最大のことですし、それが選挙に直結するのは当たり前のことなのです。そして、新型コロナウイルスを抑えることが出きていれば、必然、経済・社会活動を正常化させることができるわけです。このようにして中国は世界の主要国の中で唯一経済の回復・成長を果たしています。もちろん、感染者・犠牲者数も極めて少なく、成果を出しています。そういう状態を国民は求めているのです。現状は、この中国モデルしか、防疫方法はないのです。
ただ、トランプ政権はそうせず、防疫実績も上げていませんし、当然、経済も成果は上がっていません。だから、支持率は落ちてしまったわけです。しかし、これだけトランプが失敗してバイデン圧勝かと思いきや、結果は激戦となったわけで、このことはバイデンの問題点の存在を示し、さらにこれ以上に2016年のときよりも、世論におけるトランプを選出した方向性が強固になっているということなのです。
もちろん、これはトランプ支持派とは厳密には言えませんし、トランプが去ってもこの方向性は消えません。それは主に白人の有権者の生存に関わることがベースにあるからです。4年前にトランプはこの世論の動向をしっかりと捉え、そしてその動きに乗ったと言うことなのです。逆に言えば、今回、トランプはそのことに失敗し、また激戦になった理由であるバイデンの問題点も、このポイントを満たすことがないということなのです。
そうなると今後、新型コロナウイルス問題が解消した後、このポイントが一気に米国における焦点になることは間違いないでしょう。過激な右翼は力を失うでしょうが、このような世論の方向性は生存に関わることなので消えることはありません。そして、バイデンが大統領になったとき、このことにしっかりと対処できなければ、さらにこの世論の方向性のエネルギーは大きくなります。つまり、仮にバイデン政権になったとしても、米国がリベラルになるということではなく、むしろその実相は一層トランプ大統領を生み出したこの世論の方向性が強くなると言うことなのです。それが、今回の選挙が激戦になったことの意味です。

リベラリズムと戦争
ただ、リベラリズムは自分が正しいことをやっているという強烈なうぬぼれがあるのと、この方向性の世論を根絶しようと動くので、一層事態が深刻化する可能性は大きいと考えます。バイデンが大統領になったとき、このことに直面するでしょうから、妥協としてリベラリズムのトーンを下げる可能性は大きいでしょう。
また、彼には反新自由主義の要素はありませんし、それ以上に平和主義の方向性も見いだせませんので、このように彼が壁に直面した時に、戦争と言うことを模索することは当然考えられます。その大義名分は間違いなく民主主義、人権、自由ということになり、同盟国を大事にするということですから、それが冷戦の構造の上なされるわけです。戦争経済は沸き立ちます。ここがリベラリズムの核心なのかもしれませんが、ここがトランプとバイデンの最大の違いでしょう。
そして、アメリカ人の多くはこの欺瞞には気がついて、うんざりしているのです。だから、トランプが米軍を世界から撤退させることを支持したわけです。日本人のほとんどはまだこの欺瞞には気がついていません。左右ともお気楽なものです。日本の右翼はまったく話しにはなりませんが、日本のリベラリズムの行きすぎには気をつけなければなりません。もちろん、リベラリズムを支持し、否定はしませんが。
(つづく)

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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