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モラトリアム 異常なのだから通常の時計は止めよ
[日本の政治]
2020年4月30日 1時16分の記事

新型コロナウイルスによって経済が大きなマイナスの影響を受けています。そのマイナスは、感染拡大防止、防疫のために経済活動がストップすることでも生じますが、一方で個人として動きたくない、消費したくないということが、大きく影響します。新型コロナウイルスに対するワクチンもしくは特効薬ができ、同時にその恩恵に全世界の人々が浴すことができるまで、この両方の要因ともが続くことになるでしょう。そして、後者の個人消費行動はこの新型コロナウイルス問題を契機に大きく変化し、ライフスタイルまで変えていくことでしょう。そのことは本ブログ「ワクチンのお話し」(2020年4月28日)で書きました。

(※ 本記事は掲載から1週間が経つと有料記事になります)

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新型コロナウイルス問題において、人の命と社会に対して経済ということが対比で言われます。もちろん、これは愚問です。人がいなくなり、社会が消滅したら経済は成り立ちませんから、いうまでもなく人の命と社会の方が経済よりも圧倒的に大切なのです。このことは何時いかなる時もかわることはありません。経済も人の命と社会のために存在しているのです。
しかし、この大原則を忘れると人の命が平気で失われ、社会は衰退、消滅の危機となり、経済は必然、消滅していきます。だから、何時いかなる時も人の命を守り、社会を維持・発展させることが基本なのです。そして、これが最も経済的合理性に基づいた思考と考えますが、新自由主義に犯された日本は、この合理性を見失い、どんなにがんばっても復活しないという泥沼にはまってすでに25年になります。
しかし、新型コロナウイルス問題で、実は私たちは何が大切かを気がつきつつあります。経済、経済と言っても人の命と社会が毀損されてしまっては何の意味もないことに、私たちはものすごくはっきりと気がつきつつあるのです。そして、人の命と社会、そして経済について、国民の多くはこれからどうしなくてはいけないか、またはどうするべきかを実はよくわかっていると考えます。だから、ほとんどの人は外に出ないでじっと時が過ぎるのを待っているわけです。
ただ、その時が過ぎて行くにしたがって、これまで築きあげてきた事業、仕事、大きく言うと経済構造は、大きな壁に苛まれます。売り上げや利益の大幅な減少、まかなわなければならない人件費や家賃、そして様々な返済。大変な問題となって私たちの前に立ちはだかります。
人件費については雇用調整助成金などもありますし、一人10万円の現金給付もあります。まだまだ足りない部分はあり、今後も対応は間違いなく必要ですが、この人件費については、日本政府が責任をもって国民の命を守るという最後の砦となりまた底上げをする存在とならなければなりません。

「新型コロナウィルスの影響による休業等を支援するため『雇用調整助成金の特例』が実施開始(令和2年4月16日更新)」(補助金ポータル)

また、最近は家賃など賃料の支払い猶予や負担軽減が国会で議論されています。それは大変に良いことです。ただ、家賃の支払い猶予となっても、結局、今度はその分がオーナーの負担となっていく可能性があります。ビルでテナントを貸しているオーナーなら、ビルを建てたローンをそのテナント料から払っているケースは星の数ほどあるでしょう。そうなると賃料の支払い猶予は、また別の危機をつくり出すのです。それでは、まったく意味がありません。
つまり、このテナントと賃料の問題を解決するには、金融の支払いを猶予しないといけないと言うことになるのです。家賃を払っている存在の事業者でも様々なローン返済がある可能性があります。そうなると事業は家賃だけではなく、そのようなローン返済も事業者にとって大きな負担となり、死活問題になるわけですが、一方で事業が続けられなくなると、今度はそのようなローンも水の泡となるわけで、貸し倒れも発生します。それは膨大な不良債権の発生ということになり、大きな問題となるのです。
このように経済の非常に重要なポイント、最終的なポイントとしてこの金融があるのです。この金融において日本政府がしっかりと対応をとらないと、緊急事態宣言を発令し、人の動きを止め、経済活動も止めている経済の非常事態において、すべてを崩してしまうことになるのです。そして、いまだ日本政府は緊急事態宣言を発令しているのに、この金融問題について能動的には動いていはません。いつもながら、安倍ナメクジ政権は後手後手です。

モラトリアム、空白期間の創出
2009年、当時、金融大臣であった国民新党の亀井静香さんは、中小企業金融円滑化法を作りました(昨年3月で終了)。当時はリーマンショックで中小企業の資金繰りが大変に厳しい時期で、亀井さんは人の命と社会を守るためにこの制度をスタートさせたと考えます。考えたと第三者的に言うのは、確かめていないからです。ただ、間違いなくそうだと思います。
この制度は、返済猶予や金利減免などの債務返済の繰り延べを通して中小企業の返済負担を軽減するものですが、このことによって多くの命が救われ、社会が守られたことは事実です。当時、寄せられた非常に多くの感謝の手紙を私は見ました。
しかし、このモラトリアム法に多くのエコノミストは、ゾンビの延命と言って批判していました。大体が新自由主義者なのですが、同じ日本人をゾンビと呼ぶその感覚は私には信じられません。ただ、このように言っている私は、当時、国民新党の広報部長で政策にも携わっていましたが、このモラトリアムにはとても反対していました。もともと私は竹中平蔵よりも新自由主義者であったこともありますが、このモラトリアム法が意味すること、そして世の中のことを本質的に理解していなかったから、そのような愚挙を犯したのです。愚かと言えば本当に愚かです。あまりにも人の痛みがわからなかったとのだと思います。もちろん、それはほとんどの新自由主義者も同じです。
もちろん、亀井さんは正しかったと思いますし、何よりもこのモラトリアム法で多くの人が助かりましたし、社会も守られたわけです。そして、亀井さんは人の痛みがわかるのです。わかるからこのような制度を作ったのです。そういう方です。私はまだまだなのです。まだまだ、私は亀井さんには追いつけません。

さて、新型コロナウイルス問題を抱える私たちは、社会と経済について、そして今後についてどのように考えなくてはならないのでしょうか?
まず、何よりも、感染拡大を収束に向わせ、人の命を助けていかなければなりません。また、第二波などに備えて医療体制の確保と充実をはかっていく必要があります。ワクチン、特効薬の開発をするとともに、それがなるまでは常に感染拡大の抑止と医療体制充実を考えなくてはなりません。これが最も根底的なことであり、経済・社会・政治、すべての目的です。
ワクチンや特効薬ができるまでは、経済よりもこのことが優先しますし、一般的にもそうせざるを得ないでしょうが、その間は思うように経済は動かさない、というより動かせませんから、何よりも人々の最低限の生存と社会の維持ということが最大の眼目となります。人の命を守り、社会を維持することが何よりも大事なのです。
しかし、逆に言えば、ワクチンや特効薬ができてから、すぐに正常な経済活動ができるよう、人の命と社会を損じないようにしなければならないのです。それがまた人の命と社会のためになるのです。
だから、その時までは緊急事態、異常事態ですから、通常の経済活動の時間を止めないといけないのです。それがモラトリアムです。異常事態の時に通常の経済活動の時計を動かせば、当然、矛盾が出てきて、人の命と社会の破壊することに確実になっていきます。それは、来たるべき経済再開のときになっても、経済が再開できないと言うことに間違いなくなるのです。目茶苦茶になります。
結局、資本主義社会というのは、『時間』で動いているです。その根本は何かというと、それは『金利』なのです。この金利と時間というセット、資金を増やすという資本主義そのものは、ここに立脚しているのですが、この緊急『時』にはこの資本主義社会の元栓を止めないと、逆に経済を破壊し資本主義社会そのものを破壊することになるのです。そう言う意味で、もうすでに時代の趨勢は大きくかわっているのです。

新自由主義者というのは、この金利の元締めのところの人と言うことなのです。

日本のGDPは約550兆円です。1年間は約52週なので、大雑把に1週毎に10兆円と言うことになります。季節や様々なことでもちろんばらつきはありますが、大体このように考えるとわかりやすいと思います。そうなると4月だけで40兆円〜50兆円ということになります。
もちろん、完全に経済が止まっているわけではないので、100%マイナスと言うことではありませんから、緊急事態でも40兆円が消えるわけではありません。したがって、そのマイナス不足分をすべてではないにせよ政府が補っていくことが必要となり、さらに重要なのは金融の時計を止めて人の命と社会が破壊されないようにしなくてはならないのです。要するに、経済・金融において空白の期間を作るということです。モラトリアムです。そして、再始動できるときにすぐに始動できるようにしておかなければならないのです。そのために空白を作るのです。これが今すべきことです。これしか、今後、日本のとるべき道はありません。まず喫緊にやるべき最優先のことです。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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