何も手を打たなければ、消費税が10%に引き上げられた段階で、増税分だけ手取り額が減るのは自明の理です。賃貸住宅の場合は、消費税が非課税ですから入居者から支払われた家賃収入には消費税はもともと掛かりません。
とはいえ、空き室を埋めてもらうのに、不動産仲介会社に支払う仲介手数料や雨漏りやトイレの水回り、エアコンの室内外機の故障、外壁の塗り替え、天端板の張替えなどの修繕費は、築年数を重ねれば重ねるほど掛かってきます。見映えが良くないと、仲介を依頼した不動産会社も家賃の引き下げを要求してきます。
入居者に消費税が上がり、諸経費が余計にかかるようになるから値上げを行う」と請求を行ったところで、入居者の猛反発を招くのがオチではないでしょうか。家賃の値上げは日常生活に関わる問題だからです。
賃貸住宅の契約期間は2〜3年が多いですが、初回の契約期間で退去時のハウスクリーニング代や内装の補修費用、外装改修費用の積み立ての1室あたり負担分をすべてまかなうような賃料設定にするのが理想です。ハウスクリーニング、内装の補修費用もすべて行った場合を反映した賃料の水準はいくらくらいなのか――調査を専門家に依頼する必要があります。
その代わりに?敷金・礼金ゼロ?保証人は不要で賃料保証会社のシステムに加入義務付け?ペット可――などの貸出条件を緩和すると、近隣相場に比べ高い賃料でも客付は容易になります。一人暮らしの女性の場合、ペットとの生活はニーズが高く、家賃を高めに設定しても成約の可能性は高くなります。
ペット可のアパートで万が一、築年数が経っているのに賃料が高い、家主が異なる隣接のアパートの方が安い――などと入居者から反発の声が出たらどのように対処すればいいのか。「ペットを飼えなくなって、処分するような状況になってもよろしければ転居されても構いません。ご自由になさればよろしいかと思います」。この一言は、けっこう効きます。大家さんが言いにくければ、管理会社に言ってもらうのがいいでしょう。
大家さんが気を付けれなければならない事項のおさらい。具体的には、?初回の契約期間でフルスペック(全範囲)の修繕を行うことを前提に賃料を設定?この前提で賃料を設定すれば、貸し出し条件(敷金・礼金ゼロ、ペット可など)を大幅に緩和でき、集客もしやすい?「施設が古い割に賃料が高い」というペットを飼っている入居者には転居を促すくらいの高飛車な態度で臨んでもよい。
いかがでしょうか。いまの入居者が全員退去したら、逆にもうけものです。賃貸条件を大幅に緩和する代わりに、賃料を引き上げる好機にもなります。家主の意向でペット可のアパートはいまだに少なく、不動産仲介会社泣かせであることは、いまでも変わりはありません。
賃料設定の相談は、不動産仲介会社では的確な回答がなかなかできません。投資効果と費用の良し悪しを詳細に判定できる国際CPM(米国で資格を取得した有資格者が理想ですが、国内では少数です)や、不動産を得意とするFPに依頼するのがいいでしょう。
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