個人事業時の売掛金、法人化で継承できませんか？ - ファイナンシャル・プランニング事務所『FP Office-T』

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　1級ＦＰ技能士（資産相談業務）の代表者が、あなたの大事な資産の運営・管理方法や、会社・事業の運営・管理方法など、不透明な経済環境を乗り越える知恵と方策を提案します。日刊建設工業新聞で、国土交通省や農林水産省、経済産業省、東京都庁、横浜市庁などの取材を担当。建設市場の国際化や入札・契約制度、経営事項審査などの制度設計のほか、農業農村整備事業を含む農林水産省関連補助・助成制度に詳しい。
　保有資格は宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、競売不動産取扱主任者、一種証券外務員有資格者、住宅金融普及協会認定住宅ローンアドバイザー。日本ジャーナリスト会議（ＪＣＪ）所属。1997年1月に「別れの御櫛～斎王大伯皇女物語」で名古屋タイムズ（2008年10月31日付発行をもって休刊）創刊50周年文芸賞佳作受賞という異色な経歴を持つ。
　ご相談は電話0466-61-1346（代表）、またはメール（fp_office-t@cdej.com）へ。

個人事業時の売掛金、法人化で継承できませんか？

[事業承継・相続設計]

2015年9月25日 13時0分の記事

　これまで個人で建築資材の卸売業を行ってきたお客様からのご相談です。ご子息が継承するのを機に、本年4月1日付で法人化を行いました。

　法人の設立時に個人事業を廃止した時点で保有していた売掛金の資産と、買掛金の負債のすべてを法人に引き継いでいます。ただ、ここで困ったことが発生しました。

　引き継いだ売掛金のうち、250万円の取引先が年明け早々に倒産し、回収不能になっています。そこでお客様からの相談で「個人事業時代の貸し倒れ損失を法人の損失に引き継ぎ、損金に計上できないか？」というご相談でした。

　個人事業と法人事業は、もともと異なる事業体なので、同じに扱えません。1月から3月までの個人事業での事業所得の中での処理と、法人化した後の法人所得の中での処理に明確に分ける必要があります。

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　端的にいえば、「法人を設立する以前の個人事業を営んでいた際の売掛金の貸し倒れ損失ですから、法人で損金に計上できません」ということになります。

　法人で損金にした場合、収益に計上されていない売り上げについて、貸し倒れ損失という損金だけが発生することになります。収益が計上されたのは、個人事業時代なわけですから、損金処理も個人事業の枠の中で行わないと辻褄が合わなくなります。

　具体的には、個人が事業所得となる事業を廃止した後に、その廃止した事業に関わる必要経費が発生した時は、その事業を廃止した日の属する年分、または前年の事業所得の計算上で、必要経費に計上することになります。

　つまり、ご相談者の方の場合は、本年1月から3月までの3ヵ月間の個人事業での事業所得が発生していると考えられます。2015年分の事業所得の計算の際に、250万円を貸倒損失として計上して確定申告を行うことになります。

　また、15年1～3月分の事業所得を計算する上で、貸し倒れ損失の額が、貸し倒れ損失を必要経費に算入する前の所得を上回っている場合、つまり事業所得が赤字になっていれば、15年分で引ききれない部分の金額は14年分の事業所得の計算上、必要経費に算入できます。

　15年分の貸し倒れ損失計上前の事業所得が200万円であった場合、貸し倒れ損失250万円について、まず15年分の事業所得から差し引き、引ききれなかった50万円については14年分の事業所得から差し引いて所得税を確定することになります。

　この場合、14年分について事業所得が減少するわけですが、既に確定申告済みになっていますので、「更正の請求」を行うことになります。最寄りの税務署でご相談されるといいでしょう。
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Mitsuo Toriumi さん

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地域：神奈川県

性別：男性

ジャンル：暮らしお金

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