「米労働市場の改善」が一つの目安になっています。確かに、同市場の改善抜きに利上げを実施すれば、完全失業率の改善に水を差しかねません。また、7月のFOMC声明以降、10年債の利回りが上げ基調になっており、ドル高が進んでいます。
労働市場の改善と10年債利回りの上げ推移で、利上げ時期の「9月説」が有力視されていました。しかし、大方の予想に反して、「9月説は遠のいた」とする見方に潮目が変わりつつあります。
FRBの法的な責務は、?物価の安定?雇用の最大化――の2点です。2条件を同時にクリアできなければ、利上げはないとみるのが常識的な見方です。特に、インフレ率の目標値を2%に設定しているFRBとしては、エネルギー価格の急落と輸入価格の下落傾向に一定の歯止めが掛かれば、インフレ率も目標値に向かうと考える予想は、的を射た見解です。
ただ、労働市場の改善に重点を置き、短期的な視点でとらえて、利上げ時期を推し量るのは、「やや楽観的かもしれませんね」(経産省OB)。米の金融市場は、英ロンドン市場と独立しているようで、切っても切れない関係にあるのは歴史を学べば分かるのであえて記しません。ご存知の方はご存知でしょう。
FOMCの次回開催日は9月16、17の両日。ここで利上げを決定する材料としては、?7・8月分の雇用統計の結果?毎週発表される新規失業保険申請件数の実態と推移?6・7月分の求人労働移動調査の結果――などで、特に重要度が高いのは雇用統計の結果でしょう。
一方で、不安材料が全くないわけではありません。不安定要素としては、世界市場を席巻するような勢いで快進撃を行ってきた中国経済に陰りが出ていることです。中国に進出している日系企業の業績も中国でのビジネスで苦戦し始めています。景況感の減速感は今後強くなるでしょう。
利上げに明るい材料がない中での9月会合の動向に市場関係者はいまから敏感になっています。「9月会合で利上げ時期を示唆するのかどうか」「12月利上げ開始になるのか」という予想が市場関係者の間で広がっています。FOMC会合は、本年内は10月と12月にも予定されいます。
開催のたびに、「今度こそ次は」ということになるわけですが、私の仕入れている情報筋では「本年内はないかもね。来年初回の会合が一番有力だろう」(外務、経産両省OB)と読み解く向きもあります。
つまり「本年10月開催時にやんわりと示唆、12月に10月時の示唆の反応の様子見、16年1月開催時に利上げ実施決定のスケジュールが最も合理的ではないか」(同)という見方です。要は、16年2月初旬に行う大統領の予算教書の公表時期に間に合うようなスケジュールを予想しているわけです。
「その段階になれば、状況はすべて分かっているでしょう。利上げを実施するのは、そこまで待っても何ら問題はないし、逆に早期に手を付けすぎて経済に水を差すような状況になったら元の木阿弥です。ドライなように見えて、ドライじゃないんです」(外務、経産両省のOB)と声を揃える。
英ロンドン市場をけん引するイングランド銀行(英中央銀行、BOE)が8月初旬に開いた金融政策委員会の議事要旨で、政策金利を0.50%に据え置くことを決定しています。しかも、利上げ時期予想としては、16年初めとの見方が織り込まれています。
「ほらほら、そうでしょ!大統領の予算教書の発表時期と同じくらいの次期」というのが外務省OB。英BOCに引きずられる格好で、米FRBが政策金利を引き上げる時期を探っている可能性は残っているようです。
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