第四部 6話【ハラベエの学生時代】 | |
[ハラベエさんの犬星☆猫星(第四部)] | |
2013年6月1日 5時8分の記事 | |
ハラベエさんの犬星☆猫星 =BEEとハラベエの愛の物語= 作・原 兵 衛 第四部連載開始! 第四部 6話【ハラベエの学生時代】 UPしましたー見てね(。・ ω<)ゞ♪ ☆今回のお知らせイラストは 【メイクイーン】(´∀`)ノ
☆【第0部】 【1P】 ☆【第一部】 【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】【12P】 ☆【第二部】 【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】【12P】【13P】 ☆【第三部】 【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】 【12P】 ハラベエさんの犬星☆猫星 =BEEとハラベエの愛の物語= 作・原 兵 衛 第四部 6話【ハラベエの学生時代】 『バッズ・アンド・ボウ』に始まって氾濫したカタカナの歌。 『テネシー・ワルツ』『泪のワルツ』『イフ』『ツーヤング』『モナリザ』 『プリテンド』『ジングルベル』『ホワイトクリスマス』 何となく、原語で口ずさめる歌は、枚挙に暇がありません。 『ファイブペニー』『ジョニイギター』『黄色いリボン』『二人でお茶を』 『ドリーム』 いろいろ出てきます。 題名が出て来ずに、詞をおぼろげに覚えている歌もあります。 『オー マイラブ マイダーリン……』『シャドウスフォル オンザプレイリー……』『アンカー ザ ウエイマイボーイ……』『オーマイライフル マイポニイ アンミー……』『ザ スカイ ウォズ ブルー……』 まだまだこんなものではありません……どうして今頃こんなものががと思われる歌が、突如口からを飛び出して吃驚することがあります。 まだ脳細胞に活力があった頃記憶したものは、歌に限らず、丸暗記した勅語や名言集なども、年を経た今も鮮明に想起しますが、どうやら許容量があるらしく、ある時期から急激に記憶力が減退するようです。 覚えている歌を流暢に唄ってみせ、得意げになつているが次の瞬間、つい先日の出来事についての質問にしどろもどろになるのが、日常茶飯事です。 辛うじて、カタカナの記憶は健在と思っていますが、これも年々歳々別れの時が迫っているようです。 本人には無断で、記憶の奴めは、バイバイと手を振って、遠ざっかていくようです。 引き止めようのない辛さ寂しさは、恰も去り往く愛しい彼の後ろ姿を見送る乙女の心境ですね……口惜しいッ! 演劇活動、ジャズへの傾倒のみの高校生活が終わりを告げ、受験の季節がやってきました。 卒業生が九割を占める進学生の一人となって、受験勉強に励みましたが、勉強不足を露呈して、一夜漬けでは無理、しかも志望校が……薬剤師の父元看護婦の母の切なる希望の医学部……とあって、当然のように不合格でした。 唯一、医学部以外に受験した早稲田の演劇科、かろうじて第二次の面接まで進みましたが、試験官に、英語の成績が悪いのを指摘されました。 『肝心の日本語さえ、満足できないのに、英語までは……』 と、居直ったのがマイナスだったのでしょうか、ペケ。 浪人生活に入り、春先から夏にかけて、当時国立秋田病院から、羽後本荘(現由利本荘市)の秋田療養所に赴任していた父の官舎で過ごしました。 その頃兄は、中央大学法学部を卒業して、秋田裁判所の書記見習いのような仕事しながら、司法試験に備えていましたが、ハラベエさんと違って努力型、学生時代のバイトの無理が祟ってのことでしょうか、肺結核を発症して、父が勤務する秋田療養所に入所していました。 暢気なハラベエさんも、一家の空気の停滞に発奮して、来春の受験に備えるため、上京して予備校にはいることにしました。 漸くその気になったかと喜んだ父は、しるべを頼って、寄宿先を用意してくれました。 寄宿先一 父が可愛がっていた若いプロパー、地方出張で留守が多い、東中野の二間続きのアパートの一室……広さもあり快適だったが、留守がちとはいえ一週間に一度は帰宅、その際必ず恋人を連れてくるので、襖越しの気配を避けて、その都度外出する生活に耐えかねて退散。 寄宿先二 明治乳業の重役の世話で、吉祥寺の販売店の二階。次いでのことにバイトもと欲張ったのが間違い、牛乳配達に出たのはいいが、牛乳瓶を落とし慌てて拾おうとして、割れた瓶の鋭い破片で親指を傷つけ、怖れおののいて三日で退散。 寄宿先三 オロナインでおなじみの大塚製薬の工場長さんかなにかの邸宅。 大森にあったそのお屋敷の新入社員の寮の一室だったが、毎日規則正しい生活をしている同居者たちの眼には、同じ年頃の男がぶらぶらしているのが目障りだったのでしょう、白い眼と友達の出来ぬ生活から、一週間足らずで逃げ出しました。 これ以上父にも相談できず、頼ったのは高校の先輩のクマさんでした。 えごたと濁る練馬区江古田ではなく、えこだの中野区の江古田です。 西武線の沼袋下車、商店街を北上して、四つ角を東に折れると、道の北側に横山さんという文房具店がありました。 その横山さんの八畳に四畳の次の間付きの離れに、クマサンは千葉さんと二人で間借りしていました。 話しをするとクマサンは快諾、というより大歓迎でした。 部屋は三人で住むには十分でしたし、家賃の割り前が減るからです。 早速ハラベエさんは転がり込みましたが、居心地は抜群でした。間もなく、大家の横山さんの長男が、三人の部屋を夕方のひととき整頓して学習塾を開くことになり、三人を講師として雇い、僅かながら講師料が出るようになりました。 こうして、クマサンは大学に通いながら……千葉さんは二年連続の浪人でハラベエさんと、机を並べて受験勉強、予備校には行かず塾の講師を続けましたが、法大生と浪人二人の講師陣ではいかにも手薄、一年で消滅しました。 部屋を整頓する必要がなくなると散らかし放題、ゴミの山の中での生活でした。 三人の生活はそれぞれの家元から仕送りに支えられていましたが、当時の学生にとってはまあまあの金額でした。 しかし、あれば、ありったけ遣ってしまう無鉄砲な若い者の集団です、三人への仕送りが、適当な日にちをおいて別々に届くので安心感もあったのでしょう、結構贅沢な外食が続き、自炊するにしても、食材を豪華に買い込んだものでした。 勿論長続きはしません、月に三度は必ず訪れて三人が『氷河期』と、称していた時期には、質屋通いをし、馴染みになると学生相手に優しくしてくれる主人に甘えて、時計などは当然のように、学ランから布団毛布そして革靴に至るまで質草にしたものです。 そうこうしている内、三人が麻雀を覚え、あっという間にのめり込み、沼袋から一駅先の野方の住宅街にあるしもた屋風の雀荘に通い、連日近所のおじさん小母さん相手に、連戦連勝しました。 なんせ、三人の内一人でも勝てばトントン、二人浮けば儲けになりますし、それが毎日続くのですから、深夜江古田まで儲けた金を数えながら歩いて帰る 道々、『らっきー』『ゴーフオーブローク!』と怒鳴ったり、『俺たち 麻雀 ジャイアンツ』と、その頃常勝軍団だった巨人軍になぞらえたり、何故もっと早くこの手に気がつかなかったのかと、本気で後悔したものです。 でも、こんなことが長続きするものではありません。 当初は、三人それぞれ時間を変えて入店したものです。 三人がぐるだと思われないよう、無関係を装っていましたが、インチキを働くまでもない相手が多かったので、まともに戦い勝ち続けました。 そこで、つい気を許し、あえて隠す必要はないと、思ったのが浅はかでした。 三人が友達と知って、他の客の見る目が変わり、やがて三人は、奥の一間に誘われました。 その部屋には先客が居ました。 毎日、日に一度は店に顔を出し、店主と会釈を交わすと、常連客たちと一言二言世間話をして去って行く。 ハラベエさんたちのような素人から見ても、それと判る用心棒の中年男です。 男は、いつもは目立たぬようにしているモンモン(刺青)を、殊更に目立つようたくし上げた袖、ゆるめた襟元から覗かせて、肘枕で寝そべっています。 そして、一言。 『……指がねえと不便だぜ』 と、呟いて、懐中の、一見それと判る匕首の白鞘を撫でさすっています。 まるで安物のやくざ映画の一シーンといったところですが、三人は将にパニック状態、やたらに『すいません』『ご免なさい』を連発、這々の体で、辛うじて持ち出せた靴を手に、裸足で雀荘から逃げ出しました。 肝を冷やしましたが懲りる連中ではありません。 クマさんの大学の周辺から神田界隈の、学生街の雀荘を主戦場に、まあまあの稼いだものです。 一人の時もありましたが、三人揃ってが主で、時によっては同じ卓になることもありましたが、二人トータルで+の可能性があるので、二人の内一人がトップになるよう工夫しました。 麻雀に無縁の方にはちんぷんかんぷんな話題ですが続けます。 『リー or リーチだ or リーチ』 テンパイしてリーチをかける時、上記の三種類の発声を使い分けて、仲間が振り込まないように、あるいは振り込ませるようにサインを出すのです。 自分がその時トップなら、他のメンバーからロンした方が、+が上積みされるし、他のメンバーがトップ候補の場合は、仲間が振り込んで逆転トップを狙うのです。 『リー』はマンズ,『リーチだ』はピンズ、『リーチ』がソーズ。 加えて、リーチの牌を、前の捨て牌の上部にはみ出すように並べたら、147の筋・きちんと並べたら258,下部にはみださせたら369です。 他の牌に触れずに置いたら、風牌。 こんなイカサマというにはいかにも初歩的な方法が、意外にも功を奏し、少額ながら、三人トータルでほぼ連日+でした。 その他、指の関節や、身体の一部指し示してテンパイを報せるなど、いろいろ工夫しましたし、あぶれて見物に廻った時など、仲間との対局者のテンパイを報せるなど、イカサマは多岐にわたりましたが、実行したのはリーチの際のサインぐらいのものでした。 それにしても、麻雀にのめり込んだ受験生、将来は見えてます。 千葉さんは、それでも従来の志望を変えることなく三度不合格。 ハラベエさんは、医学部など以ての外、先年不合格だった早稲田ははなっから諦めて、というより……一回断られたところなんか、今度はこっちがお断り、とばっかりに無視。 結局明治大学の演劇科に入ったものの、授業料を5年間納め続けたのに、0単位で中退となり……まあ、今回はこの辺にしておきましょう。 ランキング参加中 ポチっとお願いします〜(*´д`*)ノ くる天 人気ブログランキング フルーツメール | |
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