第三部 4話【モシモ・ミュージアム】 | |
[ハラベエさんの犬星☆猫星(第三部)] | |
2012年11月11日 1時0分の記事 | |
ハラベエさんの犬星☆猫星 =BEEとハラベエの愛の物語= 作・原 兵 衛 第三部 4話【モシモ・ミュージアム】 ハラベエさんの犬星☆猫星の第一部〜三部の リンクを作りました。使ってくださいね(*´∀`*)ノ♪
☆【第0部】 【1P】 ☆【第一部】 【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】【12P】 ☆【第二部】 【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】【12P】【13P】 ☆【第三部】 【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】 ハラベエさんの犬星☆猫星 =BEEとハラベエの愛の物語= 作・原 兵 衛 第三部 4話【モシモ・ミュージアム】 機内の照明が明滅しました。 『お父さん、間もなく出発です……機外の情景は前方のスクリーンでご覧頂けます』 BEEの手が一閃します。 前方に白く縁取られたスクリーンが現れました。 映っているのは満天の星空です。 機内は静寂そのものですが、無ではありません、何かこう、濃密な空気が充満して、静寂という音が静寂を作り出しているように思われます。 微かな振動が感じられました……二度、三度……振動が繰り返され、その都度ギアチェンジして、ぐんとスピードアップしているようで、すれ違う星も、あっという間に後方へ飛び去ります。 過去に見た、SF映画によると、概して他の星々はもっと密集しているかのように描かれていたようです。 宇宙を旅する宇宙船の周囲は、まるで交通渋滞中の交差点みたいなもので、とてもじゃないが信号なしに通過できる訳がない。 満天の星は密集しているように見えて、個々の星と星の間には途方もなく広い空間が存在するのです。 そう頻繁にすれ違うはずのものではないでしょう。 不規則な間をおいて、現れ消えていく星、その姿は千差万別,ハラベエさんの太陽系の星々に関する、貧弱な知識程度では及びもつかない、まか不思議な光景が展開します。 初めのうちは、眼を皿のようにしていたハラベエさんでしたが、すれ違う星の異様な変化だけで興味はつなげません。 『退屈しませんか?』 BEEが声をかけてきました……良いタイミング……。 (面白いよ……ところでBEE、さっきから、外見が全く同じに見える星と何回もすれ違っているが……) 『ああ、あれ同じ星だよ、あ、ごめんなさい……えらそうに……』 (ええがな……BEEに丁寧語使われると気色悪い) 『つこてる俺も気色悪い』 二人は顔を見合わせて笑いました……どうやら昔の二人に戻りつつあるようです。 『あれ、地球やで』 (?……戻ったんか) 『いいや、お父さんの地球と違う……造りもんの地球や』 (?……なんのこっちゃ、もっと分かり易く説明してくれ) 『判った、そうする……まず最初に、今僕たちがいる場所だけど、「モシモ・ミュージアム」って云うんだ』 (モシモ・ミュージアム?) 『おんこちしんってあるだろう……古きを尋ねて新しきを知るという温故知新』 (ああ……?……吃驚するなあ、BEEがそんな言葉を知ってるなんて) 『見直した?……自慢じゃないけど、こう見えても犬星中では、ショウちゃんに次ぐ優秀な頭脳と云われてるんだよ』 (そうか、賢いかしこい) と、可愛いかわいいをするハラベエさん。 はにかむBEE。 (それで、モーモー・ミュージアムがどうなった?) 『モシモ!……モシモ・ミュージアムは過去を学ぶ博物館』 (と云うことは、過去に遡る、タイム・マシーンみたいなものか) 『似て非なるものだな』 (何のこっちゃ) 『タイム・マシーンは、単に過去に遡り、あるいは未来に訪れ、ありのままの歴史を尋ねる旅をするシステムだろう』 (そうや) 『もしもは……仮にとか……例えばとか……万が一とか、仮定の話をするときに……用いられる、』 (……それで?) 『地球なり、犬星猫星の歴史を振り返ってみると、試行錯誤の繰り返しだよね……選択肢がいくつかある場合、最良のものが選ばれるとは限らない、得てして悪い結果を招いてしまう方が多い』 (後悔先に立たずだ) 『そう、そこでビッグ・ドッグは考えた』 (おいおい、スーパーコンピューターは与えられて処理するだけ、考えるというのは……) 『お父さん……我らのウルトラ・スーパー・コンピューター・ビッグ・ドッグは、全能の神に等しい存在なんだよ』 (全能の神?) 『そうだよ……しかも、犬星のビッグ・ドッグを急成長させたのは、地球から渡来した人類なんだ』 (へえ!) 『疲弊寸前の我々の星を救い、一から立ち直らせ、今や一部とはいえ宇宙のの一方のリーダーとしての地位にあるのは人類のおかげと、感謝し畏敬の念を抱いている』 (……) 『その我々の思いが結実したのが、人類と犬類の主従関係だよ……実に美しい』 (成る程、判る……わかる) 『これは、我々犬星と、ほぼ同じような軌跡をたどってきた猫星にもいえる』 (?……これは意外!……あの尊大で、ふてぶてしい態度の猫類が、人類に感謝?……畏敬の念?) 『一杯持ってるよ、猫類も……表現するのが苦手なだけさ……犬類とは感受性に温度差があるしね……いうなれば、犬は単純猫複雑』 (へえ……只単に他者を見下して居るようにしか見えなかったけどなあ) 『猫類は警戒心が強いから、取っつきにくいところがあるけどさ……その内猫星に行ってごらんよ……超歓待されると思うよ』 (おれがか?……それとも人類全体がか?) 『勿論、人類全体が歓待されるけど、お父さんは特別……』 (特別?……どういう意味だ?) 『それはね……!……今はまだ伏せておこう……その内、徐々に判ってくるよ……楽しみにしときなよ』 (ああ……それで、ビッグ・ドッグは何を考えたんや?) 『もしも、や』 (もしも?) 『歴史上のあらゆる局面で考えられる選択肢を網羅し、その全てを検証してよりよい選択肢に到達する努力をする原体験を学習……』 (!……もしも……あの時ああなら……もしも……こうしていたなら……もしも……モシモ……の、モシモ・ミュージアム) 『その通り……全宇宙の……今のところは我々だけだけど……近い将来必ず、全宇宙からトラブルの火種を抱えた人々が、このミュージアムを訪れて平和的な解決の方策を模索する……その手助けをする俺たち、そんな時代が来ることを信じている』 と、BEEの、若者らしい明るい希望に充ち満ちた言葉に、胸が温もり、涙ぐんでしまうハラベエさんでした。 『お父さんの為に時間をとってあるけど、地球の過去でどこか行きたいところは?』 スクリーンには、無数の星を背景に、造りもんの地球が映っています。 (そうだなぁ……ただ単に歴史を振り向いてみても、好奇心を満足させるだけでは意味がない……自分自身が生きていて、歴史という大波に、いかに翻弄されていたのかを知ることが、将来への重要な指針になる筈や……そや……俺が生まれた頃、日本が、軍国日本へ大きく舵を切り、戦争の泥沼に突っ込んでいった……あの時代が見てみたいな) 傍らで、BEEが大きく頷き、手を一振り……。 当時のニュース映画を思い起こすような音楽が流れました。 ☆【第0部】 【1P】 ☆【第一部】 【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】【12P】 ☆【第二部】 【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】【7P】【8P】【9P】【10P】【11P】【12P】【13P】 ☆【第三部】 【1P】【2P】【3P】【4P】【5P】【6P】 ランキング参加中 ポチっとお願いします〜(*´д`*)ノ くる天 人気ブログランキング フルーツメール | |
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