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第一部 9話【リンの三人組、モモちゃん、そしてバドくん。】
[ハラベエさんの犬星☆猫星(第一部)]
2009年12月23日 12時45分の記事

ハラベエさんの犬星☆猫星
=BEEとハラベエの愛の物語= 作・原  兵 衛 

第一部 9話【リンの三人組、モモちゃん、そしてバドくん。】
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ハラベエさんの犬星☆猫星
=BEEとハラベエの愛の物語= 作・原  兵 衛 

第一部 9話【リンの三人組、モモちゃん、そしてバドくん。】

 浅草はいい街です。
 長年慣れ親しんだ、道頓堀界隈と雰囲気が似ているともいえますが、古くから道頓堀五座と謂われる劇場中心だった賑わいが、今やラーメン屋とゲームセンターの街に変貌し、むしろ古い町並みを残す浅草に愛着を覚えるハラベエさんでした。
 その浅草で、いい出会いがありました。
 前にお話した町田さんをはじめとする、浅草の人たち。
 そして、喫茶店「アロマ」のマスター。(※?……章末参照)
 そのマスターにすすめられ、懸案の糖尿病駆逐の目的もあって、毎日一万歩の散歩に挑戦することにしました。
 しかも、ただぶらぶら歩くのではなく、一キロを千三百歩、約十三分、早足で歩いて十キロ……一万三千五百歩をノルマにしたのです。
 かなりきついノルマでしたが、坐っての仕事が主で、弱いものと決め込んでいた足は、思いのほか酷使に耐えてくれました。
 雨の日も休まず、二ヶ月続けたたのです。
 体重が六キロほど減って、ハラベエさんがハラベエさんではなくなり、名付け親の蝶々さんに「ハラベエ」を返上したいぐらいでした。
 浅草寺の雷門を基点に、神社仏閣・名所旧跡をたどりました。
 そして、行く先々でお詫びをしました。
 過去、行ったこともないのに、無断借用していたからです。
「三ノ輪のおばさんが……」
「根岸に遠い親戚がある、とりあえずそこへ……」
 ぐらいならまだしもです。
「神田明神の前の茶店で、甘酒を……」
「富岡八幡宮の境内を抜けて、門前仲町へ……」
 どうもすいませんでした。
 四方八方に足を伸ばしましたが、気に入ったコースは二度三度と歩きました。
中でも、ハラベエさんおすすめの特選コースは、隅田川両岸のテラスと称する遊歩道の周回です。
水神大橋から、永代橋にいたる両岸には、ちょっと横道にそれるだけで、訪れたいスポットに事欠きません。
中でも足繁く往復したのは、両国の回向院を折り返し点にするコースでした。
初めてお参りしたとき、ここでもハラベエさんはお詫びをしました。
江戸時代の、明暦の大火の犠牲者を祀る無縁塚に深々と頭を下げたのです。 
つい最近、無断借用したところでした。
この回向院には、犬類猫類の供養塔がいくつかあります。
一隅には、亡き愛する子たちの名を記した卒塔婆が、幾重にも重ね束にして立てられています。
行くたびに、新しい卒塔婆に書かれた愛称が、知ってる子と同じだと、思わずその名を呼び長々と手を合わせました。
人のふんどしで相撲を取るハラベエさん……これはいけません。
なにしろ回向院は大相撲興行発祥の地ですからね。
「力塚」とある石碑を囲む石柱には、昭和の大横綱双葉山をはじめ、数々の名力士の名が刻されています。
ハラベエさん、しくじったのではないでしょうか。
杞憂でした。
 それどころか、いい出会いが用意されていたのです。
 歩いているとき、ハラベエさんは行き交う犬類・猫類に、小声で「オーイ」と声をかけます。
 まったく無視して行く子、ちらとは見るがそれ以上関心を示さない子、尻尾を振ってすり寄る子、さまざまな反応がありますが、ハラベエさんの目をヒタと見つめ、何かこう確認でもするかような子が必ずいます。
続けてて逢うこともあれば、なかなか巡り会えない場合もありますが、そう、均(なら)すと一ダースほどの中に一人は必ずいます。
 回向院に何回目かのお参りをすませての帰り、両国橋の袂のテラスで出会った三人組には、強烈に惹きつけられる何かがありました。
 つれてきているのは、小柄な初老の女性です。
 周りに紐から解放された三人の子がいます。
 女性に会釈して近寄ると、いきなり一人が駆け寄り抱きついてきました。
 顔も胴も、そして四肢も異様に長い大型犬、ハラベエさんを胸に掻い込んでしまうほどの大きさ、ロシア原産のボルゾイで名前はリン、、
残る二人ダックスフンドの犬プーとクー。
 リンが、女性の叱る声ではなれると、代わりに傍へ来て、いきなり寝転んで腹を見せ甘え声のプー。
 クーは離れたところから、観察しているかのようなまなざしで見つめています。 
 女性との会話が弾み、旧知の仲のように三人と遊び戯れながら、この子らとは、何らかの太い絆があると感じ始めたハラベエさんでした。
 同じ頃、もう一つ大事な出会いがありました。
 モモちゃん。
「アロマ」の常連客であるK藤さんの愛犬です。
 K藤さんは映画監督で、新しい作品を企画中でした。
縁というものは不思議なもので、マスターの口添えもあって、二度目に会ったときはすでに意気投合、「ゆめまち観音」なる映画のシナリオを担当することになりました……というより、ハラベエさんのほうが強引に割り込んだ、押しかけライターといったところでしょう。
なにがハラベエさんをその方向に向かわせたのか、K藤さんの事務所を訪れてわかりました
年老いたモモちゃんがいたのです。
挨拶代わりでしょうか、二度三度吠えるとハラベエさんを見つめます。
(ああ、来たわね)……とその目が語っているように見えます。
そうか、君が仕掛け人か……と、初めて会ったモモちゃんですが、この子とはどこかで強い絆によって結ばれている……そう感じました。
模型と人形を駆使して物語が展開していく新趣向の映画、K藤監督の作品、ジオラニマ「ゆめまち観音」は半年後に完成しました。

(※7……章末参照)
 興行的な採算は別にして、作品の仕上がりは上々でした。
 制作費はすべて私費でまかなわれ、採算を度外視しても、いいものを作りたいという、K藤さんのすさまじい気迫に、終始圧倒されたものです。
 K藤さんの娘さん、R沙ちゃんも、監督補として名を連ねて腕を振るいましたが、これが縁でハラベエさんは次の舞台公演の助手に起用しました。
 R沙ちゃんにとっては初めてのジャンルの仕事でしたが、周囲との折れ合いもよく、愛くるしい瞳に終始笑みを浮かべて的確に仕事をこなしてくれました。
 次なる機会には、採算のとれるタフな企画を持ち込み、K藤さんと再度仕事がしたいと思っているハラベエさんにはもうひとつ楽しみがあります。
 そのK藤さんの事務所で会うモモちゃんです。
 少々目がかすんでいる老女とはいえまだ耳は敏感で、人の出入りにはよく吠えるのに、ハラベエさんが訪れると、丸くなって寝そべったまま身じろぎもしません。
しかし、重たい瞼の間から意外に鋭い視線が覗き、ハラベエさんが見つめると瞬時やわらかいまなざしに変わって眼を閉じます。
 人間同士でも、久方の出会いの際に多く語らなくても有無相通ずる友がいますが、まさにそんな……いやそれ以上の存在でした。
 しかし、ご無沙汰が続いた後、散歩の途中浅草寺の境内で出会った、K藤さんの手の紐の先にいたのは違う子でした。
 モモちゃんは半月ほど前、この世を去ったとのことです。
ハラベエさんは死の報せに、悲しみを覚えることはなくなっています。
トコちゃんのおばあちゃんの影響でしょうか、いずれ帰ってくるものだという既成概念が、ハラベエさんの中で固まりつつあったからです。
いつかきっと、人生の何かの節目に現れる……そんな予感があるのです。
「……心は変わりまへん……目ェが、すべてを語ります」
 おばあちゃんの言葉が、ぐっと重みを増した感があるのは、ハラベエさん自身の心境の変化も手伝っているようです。
同じように、ハラベエさんのご無沙汰中になくなった子がいます。
 俳優のI見さんの家のバドくんです。
 I見さんは、今年九十六歳の天寿をまっとうされた名優、森繁久弥さんのお弟子さんとしてスタートを切り、以来三十年、公私共に密接な関係が続いた後独立した、渋い俳優さんです。
 形こそ違いますが、ハラベエさんはミヤコ蝶々さんの周辺にあって長年仕事を共にしてきました。
 お互い、昭和を代表する名優の身近にいたという共通の意識が根底にあって、ここ十年ほどのお付き合いですが、会えば話題に事欠きません。
 といっても、しゃべりまくるのは専らハラベエさん、I見さんは聞き役に徹します。
 そのI見さんの家に数日お世話になったとき、バドくんと仲良くなりました。
 バドくんのバドはビールのバドワイザーのバド……I見さんの下の娘さんと姉妹同様の付き合いをしている、ダンプ・松本が名付け親だそうです。
 長女は結婚して、I見さんに二人の可愛い孫娘をもたらし、長男のムネくんは、いわゆる役者ばかの父親と立場は逆転、父親のような息子です。
 バドくんはプードルの老犬で、目はしょぼしょぼ、足元も定かではありませんので、初対面のハラベエさんに近寄ろうとしてるのに、足がもつれてあさっての方に行ってしまいます。
 それでも懸命にハラベエさんを目指すバドくんですが、なかなか思うようには動けず……見かねて抱き上げると、膝の上で丸くなり満足になにやらつぶやいていました。
夜半、足の間にもぐりこんでいる、バドくんの眠りを妨げないように、まんじりともせず朝を迎えたこともありました。
 このバド君の存在が、ゆくりなくも半世紀前の思い出を呼び起こしてくれたのです。
 第七章で触れた学徒出陣の折、神宮外苑を行進していた先輩の俳優さんの愛犬との触れ合いです。
 先輩の一家は、太平洋戦争に突入寸前にアメリカのユタから引き揚げてきた在米邦人でした。
 帰国後、先輩は大学に入りましたが、皮肉にもふるさとアメリカと戦うために出陣させられたのです。
 幸い命永らえて終戦後復学し、卒業後某映画会社のニューフェイスを経て、新宿を根城とする喜劇の一座に所属、その時期新人として入座したハラベエさんはこの先輩の指導を受けました。
 お母さん……いやママは、当然アメリカ生活が身に付いた方、時折ご馳走になった料理も、ハラベエさんにとってほとんど初体験のものでした。
 先輩を呼ぶにしても、譲治が譲治ではなくジョージ、家族もすべてカタカナの愛称で、愛犬もトニイ、家族と交わす会話もカタカナ混じりで、軽いカルチャーショックを受けたものです。
 さてトニイですが、洋犬ではスピッツが目立っている中で、その頃珍しいプードルでした。
 泊めてもらうと、トニイは必ずハラベエさんの布団にもぐりこんできて、足の間で眠ったものでした。
 同じプードルで同じような行動、半世紀もの時間を超えて、同じ子が傍にいる……そう錯覚する……いや、そう思い込む傾向が日増しに強くなっているハラベエさんでした。
そのバドくんが死んだと、I見さんからの電話がありました。
しかしハラベエさんには、モモちゃんのときと同様、バドくんの場合も……すぐまた会えるという思いが強くあります。
 やはり、トコちゃんのおばあちゃんの影響が少なからずあるようです。
 カレらは、戻ってくる……どんな子になってるかはわからないが……いや、バドくんとトニイは同じ姿だ……それはBEEも同じ姿で戻ってくる可能性があるということだ。
 果てしなく拡がって行く、ハラベエさんの念いの世界でした。
 そして、ハラベエさんは思いもかけぬところで、再びあの光景に遭遇することになります。

※?  藤森甚一さん。

奥さんと二人で切り盛りしている、先代からのこじんまりとした感じのいいお店は、ロックスから国際通りを南へ二本目の路を入ると「アロマ」の看板あり、近隣の人や寄席・演芸場に出演中の芸人さんで賑わっている。。
 マスタ―の実直な人柄に加えて、あらゆる分野の該博な知識、郷土史の研究者としても立派に通用する見識が、さりげない会話に織り込まれまる。
                  
※?  工藤祐司監督の最新作。
    
小指ほどの小さな人形が、すこぶる精緻な模型を背景に
活躍する長編映画。
浅草十二階下の苦界に身を沈めた女性のひたむきな
生き様を、関東大震災から東京五輪開催時にかけて描く。
人形には、演者によってさまざまに表情が変化する能面を
思わせる、生き生きとした生命感が吹き込まれている。
模型による、浅草を主とする町々の再現も圧巻。
工藤氏は、落語家に師事、三遊亭あほまろと名乗る粋人
で、浅草の振興に心を砕き、インターネットにミニコミ誌も立ち上げている。

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地域:大阪府
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シーズの愛犬BEEとハラベエを取り巻く生き物たちとの、
出会いと別れを描いた感動、ファンタスティック・ノベルです。

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