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正常性バイアス?
[日本の政治]
2020年5月20日 22時0分の記事

昨日の本ブログ「正常性バイアス?」(2020年5月19日)の続きです。

(※ 本記事は掲載から1週間が経つと有料記事になります)

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菅直人氏とそっくりな安倍氏 そして、その裏にあるもの
昨日は、5月8日のブログ「これからの政治のシーンにおいて最大の焦点はPCR検査数」で書いたことを取り上げ、論を進めした。そして、医療・厚生問題に自負がある安倍氏は、新型コロナウイルス問題において、その自負によって首相としてかなり強権的に独断専行で動いていると私は結論づけました。
そして、だからこそ、この安倍氏の姿勢と存在が今回の新型コロナウイルス問題における日本の防疫問題と経済・福祉対策の最大のポイントであるといえるのです。首相ですから当然といえば、当然なのですが、しかし、安倍氏の言葉からは『専門家会議の判断により』という実態とは違い責任転嫁と考えられる言葉が頻出し、一方、言論空間を観れば、安倍氏の擁護者はかならず官邸の秘書官の独走とか、黒川問題は法務省の提案とかと、安倍氏は被害者で他に本当に悪いものがいるという一種の陰謀論ともいえる論調が頻出するのです。消費増税なら財務省悪玉論です。
ただし、これらの話しが実際に本当なら、そのような首相ではまずもって困りますし、このような話しが出てくるだけで、辞任必至のレベルです。なぜなら、それは無責任体制そのものであって、そのような首相を変えて責任の所在をはっきりさせる政権運営を実現する必要があるからです。
ただ、実態はそのようなことはなく、歴代最長期政権ですから、当然、安倍氏の力が非常に強まっていて、その独走があるから、例えば森友学園問題で「私や妻が関係していたということになれば、首相も国会議員も辞める」という安倍氏の国会答弁で、官僚が忖度してすべてが動いたということが起きるわけです。一事が万事で、他にも同様の例は沢山ありますが、このような状態を隠すために他に悪玉を仕立てて、安倍氏自身はひ弱い被害者という立ち位置にして、責任と批判を回避するトリックが安倍氏本人や安倍応援団によって多用され、それが長期政権実現に寄与してきた考えます。
そして、このことはPCR検査についても同様と考えます。5月8日のブログには以下のように書きましたが、PCR検査が進まない原因として安倍氏自身ということは間違いないと考えます。この文での「PCR検査が進まない『目詰まり』」とは、PCR検査件数が伸びない理由として目詰まりがあると安倍氏が5月4日の記者会見で述べたことを踏まえての表現です(詳細は「PCR検査の目詰まり、首相認める 対応遅れが出口の壁に」(2020年5月4日 日本経済新聞))。
要するに自分が原因であるのに、さも、別の誰か、もしくは何かが原因であるかのように言ういつものトリック、論理展開なのです。


こういうところにPCR検査が遅々として進まない本因があると考えます。PCR検査が進まない『目詰まり』の本当の原因は保健所などではなく、安倍氏自身と言うことです。安倍氏の意向を厚労省が忖度している可能性はかなり大きいと考えます。これは韓国・文在寅政権の防疫の成功が安倍氏の念頭にあるためと考えます。つまり、文在寅政権の韓国モデルは死んでも認めないという安倍氏のつまらない感情とプライドです。そして、何よりもそのために日本人の命と健康が犠牲となり、同時に感染拡大の切り札が使えずに一向に感染拡大が収束しないことによって、社会と経済が破壊されているという可能性が浮上しているのです。果たして何十兆円の損失になるのでしょうか? 無論、損失額だけではなく、これは何よりも国民一人一人の命と健康と生活、人権問題に関わり、民主主義国家の成り立ち、国家の根幹に関わる、極めて重要なポイントになるのです。


安倍氏がPCR検査を進めなかった原因として、この韓国・文在寅政権がPCR検査をしっかりと行って防疫で大成功を収め、世界から賞賛されたことがあると考えます。安倍氏の昨年の対韓姿勢・施策を観れば、敵意が明らかでしたが、それから一年も経たないうちにこれほどまでに安倍氏と文在寅政権との明暗がはっきりしてしまったことは、安倍氏のプライドをひどく傷つけていると考えます。だから、意地でも、韓国がやったことは認めたくないわけです。もちろん、そのことによって国民の命を危機にさらすことはお構いなしなのです。そんなことははなから考えていないと考えます。
また、PCR検査拡大をテレビ朝日『モーニングショー』もずっと早期から指摘していましたから、そのことも認めたく無かったのでしょう。
そして、もう一つ、明らかな理由があると考えます。このことはクルーズ船『ダイヤモンド・プリンセス号』にも繋がることと考えます。
それは、安倍政権が当初から集団免疫を行っていたというものです。私はそう考えます。
この集団免疫は、ウイルスにさらされる人の数を増やすことで「集団免疫」を形成し、感染拡大を防ぐというものです。要するにウイルスにみんなで感染して、運が悪い人は死んだり、後遺症が残こりますよという施策で、全体が免疫を獲得するために、命を犠牲にしてくださいといういわば国民全員に特攻を強いる政策です。みんなのために運が悪ければ死んでくださいといういうものですし、民主主義国において国民にロシアン・ルーレットをさせるものです。あり得ないものですが、これでは、国民の連帯などあったものではありません。
そして、何より、この施策は生に焦点を当てていません。全体のために個人の死を是認することによって死を肯定しています。そして、そのように死を肯定すると政治や社会で収拾がつかなくなっていくのです。なぜだかわかりますか? それは、死を肯定していることによって、段々、救うことの意義が人々の心の中で低下していくからです。苦しんでいる人は、全体が免疫を得る利益のための犠牲と見てしまえば、優先されるのは、利益の方なのです。
これが集団免疫という愚かな施策の本質です。生命の平等がありません。このようなことを民主主義国では強制的にでも本当は行えないのです。人権の最大の要素は生存なのです。その人権の最大要素を蹂躙する施策を民主主義国の行政府が行うのは明らかに人権蹂躙国家の証でしかないのです。あくまでも、国民の命を守る大前提を崩してはならないのです。その意味で、韓国・文在寅政権が防疫政策は極めて理想的であるのです。


集団免疫というひどい施策
また、集団免疫をして、どの程度の影響・被害があるかそもそも未知数ですし、さらにウイルスが変異する可能性もあるわけです。実際、イギリスは当初、集団免疫を行っていましたが、事態に対応できないということで、途中から検査と隔離という一般的な防疫政策の方向に変わっています。

「英政府、独自の新型コロナ『集団免疫』戦略を修正へ」(2020年3月17日 MIT TECHNOLOGY REVIEW )

しかし、ジョンソン首相まで感染してしまい、かなり重篤な状態にまでなったのですが、その経験をした同首相の新型コロナウイルス防疫政策は、以下のNHKの記事にあるように非常に慎重で丁寧なもの、すなわち人命を非常に重要視するものに変わっています。人として当然の反応と考えます。これが正常な人間の反応です。


イギリスでは、厳しい外出制限などの措置の緩和に向けた議論も始まっていますがジョンソン首相は、慎重な姿勢を示していて、イギリスのメディアは、ウイルスの感染によって生死をさまよった経験が首相の今後の決断に影響を与えるのではないかと伝えています。

「英首相 “死ぬかもしれないと覚悟” 新型コロナ感染で」(2020年5月3日 NHK)


また、スウェーデンが集団免疫を行っていますが、感染者の死亡率がアメリカや中国よりも高くなっていることが、以下のニューズウィークで報じられています。

「『集団免疫』作戦のスウェーデンに異変、死亡率がアメリカや中国の2倍超に」(2020年5月1日 ニューズウィーク)

このスウェーデンの感染者の死亡率の高さは、スウェーデン周辺の集団免疫を行っていない国々と比べても以下のように突出していますし、感染者数と死者数も突出しています。要するにみんなで感染しましょう、でも運が悪い人は死にますし、救えません、というやり方がこの集団免疫であるわけです。全体のための死者を当然のごとく前提として、そのような人々を最初から救うこともしませんという集団免疫の本質が、この数字に非常に良く表れています。まったくひどい施策です。


スウェーデン(人口 約1000万人、感染者数 32,172、死者 3,871)
フィンランド(人口 約553万人、感染者数 6,493、死者 306)
ノルウェー(人口 約532万人、感染者数 8,301、死者 235)
デンマーク(人口 約577万人、感染者数 11,182、死者 561)
(5月22日時点)


そして、最大の集団免疫国家が米国であると考えます。米政府はそう言っていませんが、私はそう考えます。初期対応が遅かったということもありますが、あまりにも感染者、犠牲者が多すぎます。
また、この集団免疫は常に表層的な経済の側面を天秤にかける言い方をします。しかし、それも愚かな考えです。感染者が増えすぎて、医療が崩壊してしまえば、経済どころの騒ぎではないのです。わかりきったことなのですが、経済を前面にして、結局、米国のように防疫に失敗するという結果になるのが、集団免疫と考えます。そして、実際、失敗していると考えます。
その米国の感染者数は約1,604,843人、死者は95,656人(いずれも5月22日時点)。アフガニスタン紛争での米兵の戦死者は2,445人、イラク戦争は4,431人、ベトナム戦争は58,220人、第一次世界大戦は53,402人、第二次世界大戦は291,557人です。ベトナム戦争をはるかに上回る犠牲者がすでに出ているわけですから、この新型コロナウイルスがいかに危険な感染症であるかがよくわかります。

「正常性バイアス?」(2020年5月21日)へ続く。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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