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4つの原理
[日本の政治]
2020年1月18日 23時30分の記事

昨日のブログ「未来への展望」(2020年1月17日)を後から読み返していたとき、ローマ法王フランシスコの『福音の喜び』にある「平和と正義と兄弟愛をもって国民形成を進めていくための四つの原理」をもう一度見直すことが必要と考えました。



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この4つの原理については、本ブログの「とても良い記事?」(2016年7月19日)で約3年半前に書いています。こちらも野党共闘ということについて、この4つの原理を取り上げていますが、いまだその情勢は変わっていないとも言えます。この4つの原理については、日本の社会のためになら何度でも取り上げるべきことと思いますが、それでは4つの原理とは何か? それは、時は空間に勝る、一致は対立に勝る、現実は理念に勝る、全体は部分に勝るです。これらが平和と正義と兄弟愛をもって国民形成を進めていくための原理と法王フランシスコはいっているわけです。この4つの原理を最初に取り上げたのはザ・フナイ2015年12月号でのことです。以下は同号で書いたことの抜粋です。それらをみながら書いていきましょう。


原理と書かれていますが、「社会現象を解釈し、評価するための第一の基本的枠組み」の方がわかりやすいでしょう。そして、重要なことは、この原理が思考の原点であるということです。
(中略)
時は空間に勝る
この空間とは「瞬間」と置き換えることができます。一時をもって全てとするなということであり、時間の連続性の中でものを考えろということです。以下のように書かれています。

223 この原理は、早急に結果を出すことを迫らず、長期的な取り組みを可能にします。また、困難であったり反対を受けたりする状況に辛抱強く耐えることや、力強く動く現実によって迫られる計画の変更を助けます。(一九〇頁)

一致は対立に勝る
一致とは同質、画一のことではありません。多様性における一致を述べています。我々にとってわかりやすく言えば、「和して同せず」ということです。したがって、価値相対主義に極端に陥って、鵺(ぬえ)のようにアイデンティティと価値を失うことを戒めています。あくまでも「対立に耐えてそれを解決し、新しい道のりの連な
りへと、それを変貌させるのです」(一九三頁)

と多様性を述べ、同時に以下のように書かれています。

228 こうすることで、違いを残したまま交わりを広げることが可能となります。対立の表面からずっと深いところまで入っていき、尊厳への深い敬意をもって他者に目を向ける気高い人だけが、それを可能にするのです。そのためには、社会における友好関係を構築するために不可欠な原理を打ち立てる必要があります。すなわち、一致は対立に勝るという原理です。きわめて深く、そして究極の挑戦として了解された連帯は、生活の領域に歴史を構築する方法となります。その連帯は、対立や緊張や抵抗の場に、多様性の一致を実現しうるのです。これは混合主義や、他者を吸収することに賭けることではありません。そうではなく、対立する両極がもつ豊かで有益な潜在能力そのものを維持したまま、高い次元での解決に信頼することです。(一九三−一九四頁)

やはり『論語』の「君子は和して同ぜず、小人は同じて和せず」を想起させます。洋の東西を問わず、人々が主体性や特徴を尊重して協調することは発展や創造を生み、反対に保身のために同調して実は協調していない状態は弊害を生むということでしょう。また、政治や国際情勢を見つめる者として「一致は対立に勝る」という言葉を目にすると、Divide and Rule(分断統治)ということを思い起こします。この手法はよく植民地支配の手段として使われます。また国内の政治においてもよく使われる手法ですが、分断される方には全くメリットはなく、単にコントロールされ、疲弊させられ、搾取をされるだけです。そういう意味では、「一致」を志向するということは、大半の人々にとっては非常に重要で益のあることです。『福音の喜び』では以下のように書かれています。
(ザ・フナイ2015年12月号63−65頁)


時は空間に勝るという思考は、その時々の空間を支配するのではなく、あくまでも時間を基軸に考えるので、政治においては独裁を避け、そして粘り強い対話をもたらすことができます。同時に時間を基軸にするので、次世代の準備、そのための働きかけという未来志向も生まれてきます。今の安倍政権下では次世代が育っていませんが、まさに空間を支配しようとする安倍政権の思考故に、次世代を育てるということがなされていないと考えるべきことでしょう。
そして、ここに安倍政権と自民党政権の最大の陥穽があるわけです。このポイントをしっかりと踏まえれば、確実に55年体制は崩壊に向うということです。

一致は対立に勝る。これもその通りです。昨日のブログで立憲民主党と国民民主党のことを書きました。これら二党が合流して共産党との連携ができれば、野党にそれなりの方向性が見えてきます。共産党の党大会がありましたが、同党もそのような方向性を意識しています。まさに一致は対立に勝る、多くの果実をもたらすことは明らかです。その場合、リーダーシップには、現実とそれぞれの能力を上手く対応させる能力、そして明るい未来を形づくる能力と意思が要求されます。
ただ、昨日のブログで書いたように国民民主党で合流に反対していて新党を作ろうとしている人々が、そもそも一致が見込める人々かどうかは疑問です。むしろ、Divide and Rule(分断統治)の装置ではないかと考えます。野党共闘をいった選挙で自民党と選挙協力をしているというのは、公に平気で嘘をつくということです(「国民に平気で嘘をつく政治家?」(2019年7月29日))。このような人々を鵺(ぬえ)と呼びますが、世の救済に貢献するとはどうしても思えません。それなら、世の救済に資する人々と一致をまず構築することが何よりも先決と考えます。

現実は理念に勝る。これは昨日のブログでは最後に書いたリベラリズムの対話のことにかかります。とかくリベラルには、自分たちが言っていることが正しい、そして大抵正しいのですが、同時に自分たちは攻撃さている、迫害されているという思いが、プライドを失った思いが、正しいことをいっていても分厚い殻を作ってしまうことがあります。そして、その時、理念が現実に勝り、普遍性を失っていきます。一致ができる要素を持つ相手なら、アイデンティティを維持しながら現実との対話をもってより普遍性の高い、現実感のある方向性を見いだしていくことは可能だと考えます。協調した現実は、頑なな理念に勝ると言えると考えます。

全体は部分に勝る。これは全体主義のことでは毛頭ありません。この原理はカトリックにある共通善と関連することと考えますが、現実的には1%(の富裕層)と99%の対立のように、1%の部分に99%の全体は勝るということです。反新自由主義です。そして、それは社会の、人類の生存に関わるということです。1%の生存を優先するのではなく、100%の生存を実現しなくては、所詮、社会、人類は維持できないということなのです。
私はこの全体は部分に勝るということを生命論として読み解きました。生命論というと構えてしまうかもしれませんが、それは生命の平等ということです。どの命にも価値の優劣はないということです。これは基本的人権や平等のさらに高次の理念、現実と考えます。ひとつとしてムダな命はこの世にはないのです。

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◎ 拙著です

○ 『この国を縛り続ける金融・戦争・契約の正体』



内容は今まで見たことのない国際情勢と世界史の分析で、2024年の世界情勢の根本要因が書かれています。この本とザ・フナイの連載をトータルで読むと、ロシア・ウクライナ情勢、パレスチナ・イスラエル情勢及び中東情勢、東アジア情勢など現在の世界情勢の本質が見えてきます。もちろん、日本国内の情勢も見えてきます。内外情勢は決して別々ではない。
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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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