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切り取らないと見えてくるものがある
[日本の政治]
2020年1月14日 23時20分の記事

副総理の麻生氏の発言を観ると、結構、色々なことが見えてきます。

「切り取りなしの全容!麻生副総理「日本は2000年に渡って一つの民族」発言の文脈」(2020年1月14日 FNN)

「麻生氏、『一つの民族』発言を陳謝『おわびのうえ訂正』」(2020年1月14日 朝日新聞)

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問題となった麻生氏の「一つの民族」発言について、上記、FNNの記事では切り取りなしの全容として以下のようにその発言を掲載しています。


「2000年の長きにわたって一つの国で、一つの場所で、一つの言葉で、一つの民族、一つの天皇という王朝、126代の長きにわたって一つの王朝が続いているなんていう国はここしかありません」という発言だ。政府は、アイヌ民族を先住民族としていることなどから、日本は単一民族国家ではないという見解だがそれに反するのではという批判が出ている。


右翼の系譜、そしてジャーディン・マセソン支店長であった吉田健三の系譜である麻生氏ならではの発言のように考えます。しかし、実は問題として指摘したいポイントは、この発言に至る前の発言にあります。このFNNの記事では以下のように書かれています。そのまま引用します。


「今見てください。あのラグビー見たって15人のうち7人がニュージーランド、韓国とか、どこかいろいろな国がある。結果的にワンチームで日本がまとまってるでしょ。ぐおーんとやって勝ったわけ。『勝てっこない』と言われて勝って、そして昨日からまたラグビーが始まったよ。観客動員数、今までの倍。いいことじゃないですか」

このように去年のW杯での日本代表の活躍を契機としたラグビー人気向上に触れた上で、「インターナショナル化する中での日本」について、聴衆に語った。

「インターナショナルになっていることは間違いない。そして、それが力を生んでいるんだから。我々はそこが大事なんだから。純血守って何も進展もしないんじゃなくて、インターナショナルになりながら、きちんと日本は日本を大事にし、日本の文化を大事にし、日本語をしゃべる。そしてお互いにがんばろう、ワンチーム。日本はすげーというのでやって、それで世界のベスト8に残った。いいことですよ。私はそういった意味では、ぜひ日本という国がこれからもインターナショナルな世界の中で、堂々と存在感を発揮して、やっぱり日本という国は偉え…」

このようにインターナショナル化する中での、日本のアイデンティティーや存在感について話し、「日本という国は偉え…」という言葉に続いて飛び出たのが、当の発言だった。


10月以降の勉強会にご出席された皆様なら、この麻生発言がまさにイギリス関連で分析・予想した通りの論理展開であることがすぐにおわかりになることしょう。ラグビーをインターナショナル(多国籍)と扱ったりすることまですべてにおいて分析したとおりで、思わずこの記事を観て笑ってしまいました。この記事は昨年中の分析・予想を裏づけるものですから、FNNが切り取らずに出してくれて本当にありがたいことと思っています。FNNもこのような記事を書くのですから、言うまでもなく同じ穴の狢と考えます。
さて、このような発言の本質は、昨年10月からの動きにポイントがあり、それはTPP、英連邦、日本の近代の構造、水道民営化、外国人労働者受け入れなどに関わり、これらは麻生氏がいう二千年続いてきた日本の解体にその本質があります。
実際には明治維新で日本は英帝国の非公式植民地になっていますから、その時にすでに国としての連続性・正当性は断絶しているわけです。そして、そのときの代表的な権力層の一人が麻生氏の系譜であるのは、これまで指摘してきた通りです。ですので、右翼的な発言をする、スゲー日本と連呼する麻生氏の本音は、実はこの前段にあるわけです。戦前も今も変わりませんが、このような本音を隠すために、愛国的、右翼的な発言をするのが本当なのです。そして、大抵の人はそれにころっと欺されてしまうわけです。

その他の問題点
民族と言えば言葉がその大事な要素ですが、麻生氏はそもそも日本語が読めないことがやり玉にあげられました。そのような言葉を軽視する人物が、民族を大事にしているとは到底思えませんし、また麻生氏をそのように思うのもちょっと問題があります。副総理という重責にある政治家の言葉としては、今回の民族発言は、そもそもご本人が日本語を軽視していますから明らかに欺瞞です。ゴルゴ13よりもっと読むべき本があったのではないかと心から考えます。

さて、日本における人種・民族問題で一つだけ動かせない事実があります。それは日本列島で人類が発祥したのでなければ、日本人のすべての先祖は海を渡ってきたか、約1万年前まで朝鮮半島と陸続きでしたからそこを通ってきたということです。
いわゆる縄文時代は一万六千年前から始まりその後一万三千年続きます。麻生氏のいっている二千年前からというのは、いわゆる弥生時代以降の二千年ということと考えますが、日本にはこの二千年より圧倒的に長い時代が存在しているのです。それが縄文時代で、この時代は日本を考える上で極めて重要な意味をもっています。昨年9月の勉強会ではこのことを徹底的に詰めました。
そして、この縄文時代に日本の原型ができていると考えますが、以下の日本経済新聞の記事(共同)はそのことを示す証左と考えます。

「北方・南方両系のDNA確認 富山、縄文時代貝塚の人骨」(2014年1月20日 日本経済新聞)

長野県諏訪地方から山中を抜けて大鹿村を通り静岡県浜松地方に至る秋葉街道は縄文の道、つまり縄文時代からあったまさに街道・ハイウェイ(Highway)です。この秋葉街道は秋葉信仰や秋葉原に繋がるものですが、このような街道・ハイウェイが縄文時代から日本の至る所にあってネットワークとなりこの時代のシステムを支えていると考えます。そのような中で上記記事にある富山の小竹貝塚のように混血が進んでいると考えるのが自然でしょう。
このような縄文期があって、その後の弥生時代は何かといえば、それは人種・民族というより、この縄文期の土台の上に文化的側面の変容が生じた時代と考えます。したがって、日本の歴史において縄文時代は非常に重要で根本なのです。そう考えると麻生氏のようにたった二千年レベルで日本のことをいっていること自体、極めて知的に乏しいといわざるを得ません。今回の麻生発言の問題点の本質はここにあると考えますが、日本のことが何もわかっていない副総理と考えます。
また、このように日本の歴史を考えると、アイヌが先住民という言い方はそもそも間違っています。それなら、後から住んだ人たちは一体何のか? そのことを逆に証明してもらわなくてはなりません。アイヌとは米国における先住民と白人と同じ関係ではなく、縄文人と同じ日本の原型を形作る一つ考えます。アイヌ問題は主に近代以降の問題と考え、それは沖縄問題とも同じでしょう。つまり、この二千年で日本を考える枠組みで作られている問題であって、その枠組みがそもそも間違っているのです。この間違いも基本的に明治維新以降のものと考えます。新しい時代においては、そのような日本の本当を観ることもそろそろ始めなくてなりません。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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