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問題なのは最低賃金の格差ではない?
[日本の政治]
2019年8月10日 23時55分の記事

8月5日に日本経済新聞が報じた下記の記事は、2018年の実質賃金について、厚労省の発表では前年比0.2%増であるのに対して、衆議院調査局が行った予備的調査では前年比0.4%マイナスであったことが報じられています。衆議院調査局がこの調査を行ったのは、厚労省による毎月勤労統計の不正問題を巡り、立憲民主党など野党5党派が5月に同一事業所のみを比較した実質賃金を算出するよう求めていたことによります。

「18年の実質賃金、0.4%のマイナス 衆院調査局」(2019年8月5日 日本経済新聞)

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差は0.6%ですが、その数値はゼロを挟んでプラスの数値、マイナスの数値で、印象としては0.6の差という数字以上に大きな違いがあります。特に安倍政権・自民党は労働者に厳しく、弱者に対して辛辣であるという批判が多くありますから、このプラスか、マイナスかということは政権にとってとても大事なポイントになります。プラスなら安倍政権はちゃんと仕事をやっているという印象が作れますし、マイナスならやっぱり安倍政権ではダメだということになります。ただ、0.2%プラスと0.4マイナスという二つの数字の中間は0.1%マイナスですから、どんなに安倍政権に対して好意的にいっても、実質賃金は伸びていないというのが実相でしょう。
今回、野党が同一事業所のみを比較対象としたのは当然でしょう。サンプルを恣意的に抽出することによって、政権に都合が良い数字は作れてしまいます。ただ、この衆議院調査局の発表も、時間的制約があったのかもしれませんが、先の参議院選挙の前に発表されるべきであったでしょう。国民の判断の重要な要素となったはずです。
実際、この勤労統計の不正問題では統計法違反がいわれました。なぜそのような法律的縛りがあるかのといえば、国の基幹統計に不正があったり、数字をねつ造して適当に政権に都合よくいわれては、国民の利益にはまったくならず、一方で政権担当者の権力維持などに使われる危険性があるからです。現実に対するしっかりとした認識が、正しい政策への第一歩になりますが、そのために参考にする統計が、非現実的であれば、政策はその一歩目から間違うことになりますし、それが国レベルで生じたら大変なことになるのは目に見えています。GDPの数値なども含めて、発表される数値が政権の権力維持のために作られるとしたら、国民の利益になるはずもありませんし、国民の判断が損なわれますからそもそも民主主義の完全な否定になります。衆議院調査局の発表の時期もこの可能性があるのです。

「勤労統計不正 統計法違反の疑い 抽出に変更、届けず」(2019年1月16日 東京新聞)

上記の今年1月の東京新聞の記事には、当時、毎月勤労統計の不正問題など数々あった労働についての諸問題が書かれています。それらを改めて見直すと、明らかに政府に大きな問題があることがわかります。国民の働き方改革をいう前に、まず政府の国民に対する働きが不全であることを徹底的に調査・是正すべきであるのは、今でも変わらないテーマでしょう。また森友学園問題で噴出した決済文書の改ざん・隠ぺい、虚偽答弁についてもあわせて考えると、とてもクールジャパンとはいない状況です。GDPなどについても国民に正確な情報が政府から出ているのかといまだに思える状況と考えます。

「勤労統計、際立つ悪質性 不正を職員把握、意図的加工」(2019年1月13日 東京新聞)

なぜなら、抜本的に状況が改善されているとは思えないからです。これまでの歴代の政権なら、それがたとえ自民党であっても、これだけのことがあれば確実に政権は終焉しています。しかし、いまだ同じ政権が継続しているのですから、状況は何も変わっていないと考えるのが自然なのです。すでに第二次安倍政権も記録的に長期になり、60年以上にわたる自民党超長期政権の約10%の期間になっています。そのような状況で、数多くの問題が噴出していますから、政権を交代し、この安倍長期政権の調査を一度すべきでしょう。そうやって国政の自浄能力を発揮すべき時期にすでになっています。現状の実相・本質はすでに「決めてはいけない政治」なのです。よくいわれる「決められない政治」と追い立てるようなことをこのような状態でいっていては、加速度的に政治による悪い結果が生まれるのはいうまでもありません。当然、チェックするときは何事も全部止め、チェックする人間、政府の責任者を変える必要があるのです。
ただ、このような政府による統計不正や虚偽、隠ぺいが横行するようになると、国家としてはすでに凋落傾向に入ったと考えるべきでしょう。実態を隠さないと権力が維持できないということですから、現実は上手くいっていないことを示しているわけです。権力への高い執着と現実の凋落傾向という要素が絡み合うと、国民から現実を覆い隠す結果となり、現実がさらに悪くなっていくわけです。先の大戦と状況はまったく同じです。80年経っても日本人の体質は変わらないということと考えます。人間(ヒト)とはコミュニケーションで成り立ち、生存する生物ですから、そのコミュニケーションに嘘が入り目立ち始めると人・社会は確実に亡びます。もちろん、コミュニケーションを阻害する乱暴な言動もまた人と社会を滅ぼします。
「問題なのは最低賃金の格差ではない?」(2019年8月11日)へ続く。



最終編集日時:2019年8月16日 2時12分

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1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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