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現在の日本に牽制はない
[日本の政治]
2018年9月17日 21時41分の記事

海上自衛隊の潜水艦などが、13日、南シナ海で訓練をしたことが報じられています。

「海自潜水艦、南シナ海訓練 軍事拠点化進める中国けん制」(2018年9月17日 共同通信)

「海自潜水艦、南シナ海で極秘訓練を実施 中国を牽制」(2018年9月17日 朝日新聞)

「『中国原潜、封じないと』海自極秘訓練 衝突回避が課題」(2018年9月17日 朝日新聞)

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海に囲まれた日本はいつから領海や領空の外で戦闘行動ができるようになったのでしょうか? 上記の上二つの記事では、海自潜水艦が南シナ海で行なった極秘訓練を中国への牽制と書かれています。日本は領海外で他国に対して攻撃はできませんから、そこでいくら訓練をしても、中国への牽制にはなりません。これが現在の日本の憲法下での大原則です。
それを朝日も共同も、日本が領海外で他国を攻撃できる大前提で「牽制」と書いているわけですから、どういう了見をしているのか、これは大問題です。もちろん、政治的にはこの海自の行動は、朝日と共同の記事をはるかに凌ぐ極めて重大な問題です。憲法を改正していない状況において、このような行動に海自が出たのなら、それは大変な問題で、そこには憲法を無視する姿勢が明らかに見えます。先の大戦以来、何一つ変っていない体質があるわけで、これは許されることではないでしょう。これではどんな憲法を作っても好き勝手にやり、結局は国を追い詰める体質がそこにあるものと考えます。先の大戦では正にこのことが問題であったわけです。それを軍部の暴走というわけです。
南シナ海が海上輸送の重要エリアだろうが何だろうが、そんなものは全く問題ではなく、法の支配ということを完全に無視する姿勢が海自にはあるわけですが、それは当然、法ではなく軍の支配という戦前と同じ状況に繋がるわけです。こんなものは許されるモノではありません。
そもそもこの10年、日本は戦略的に全く動いてきていません。今になって中国がー、中国がーというのですが、それならロシアとの関係を構築すれば良いと5年以上前から言ってきました。6年以上前かもしれません。そうすれば米軍が東アジアから撤退したあともロシアとの関係が対中国の安全保障に大きなポイントになるわけです。これにプラスして朝鮮戦争を終戦させて、そういう形で東アジアの平和体制を構築することが何より肝要であったわけです。
しかし、第二次安倍政権は、その出足の時点で日露2+2を結んだのは良かったのですが、その後、あーだこーだといって日露関係を進めることをしませんでしたし、朝鮮半島和平に対して反対の動きをしてきました。これらは実はセットです。
そのうち、中露関係が親密化して、対中へのポイントの意味が減ってしまいました。もっと早く日露関係を緊密化していれば、対中での優位性をつくることができたのに、のろまな安倍政権は全く動きませんでした。ただ、ロシアと22回も会談を重ねてやっている感を演出しているだけでした。そういう状況において、先日のプーチン大統領の日露平和条約の提案があるわけです。
そういう経緯があって、今頃、中国がー、南シナ海がーといっても、戦略的には全く頓珍漢な話なのです。むしろ、この5年間で日本の安全保障環境は非常に悪くなっています。むしろ悪くさせています。それは全く戦略眼なく、反対に動いてきたからです。戦略と構図を整えた上ではじめて軍事は成り立ち、それが何よりも日本を守り自衛隊員を守るのですが、これまで日本は全く不利になる方向で動いてきて、その上での今回の南シナ海での海自の行動では、本当に愚かしいばかりです。本当に情けない。
仮に今回の海自の行動が中国への牽制だとしても、その先、中国と有事になっても日本には勝算はないと考えます。かなり厳しい状況に追い込まれ、先の大戦と同じになると考えます。
上記一番下の朝日の記事にあるように、突発的な衝突の可能性もあります。実際、軍事的な衝突が生じたところに通常はマスコミのカメラはありませんし(あったら出来レースでしょう)、特に潜水艦で水中の場合はそうでしょう。本ブログ「トンキン湾事件」(2018年1月20日)で書いたように、戦争とはつくられて始まるのです。そして、誰かの利益になるわけです。それはGPIFの資金が流れたところです。実際、GPIFの投資先として軍需メーカー(軍産複合体)があることを東京新聞が「GPIF年金運用 軍事上位10社の株保有 本紙調べ」(2017年9月17日 東京新聞)として、報じていますし、この記事について本ブログ「東京新聞の非常に良い記事」(2017年9月28日)で書きました。
このような「衝突」が自民党総裁戦後にあるかもしれません。それが憲法改正に繋がりますし、日本の再軍備になっていきます。またもや日本は戦争の時代に逆戻りしますが、このような上に世界的な金融恐慌や地震などが重なっていく可能性があります。今年2月8日に書いた舩井メールクラブで、2018年について書いた拙論の中で、この二つのことを書きました。そして、何よりも今年は戦争の可能性が非常に大きい年とも書きました。地震は天災なので別としても、中国との衝突、金融恐慌はどちらも人為的なものですから、安倍政権が憲法改正や再軍備を達成させるためなら、このようなことを考えていても不思議ではないと考えます。安倍政権は現状、GPIFなど巨額のお金を世界で動かしているわけです。非常に危険な政権と考えています。そういう意味で、今回の海自の行動は、その最初の可能性があります。
ザ・フナイ11月号では日中の枠組みということを書いていますが、そのキーワードは上海閥、英国、そして明治維新の構造=戦前の構造です。これらは100年以上前から東アジアでの主要素なのです。今後もこの枠組みで様々なことが起ることが予想されますが、見ての通り、日本においては戦前への回帰ですから、国民にとっては何一つ良いことはないでしょう。

今回の海自の行動についての報道では、情報が少なくて良く判別ができませんが、今回の海自の行動は日本単独の可能性があり得ます。つまり、米国なしでの行動です。これは既に米軍のプレゼンスが東アジアからなくなっている可能性を意味します。このことに関してはザ・フナイで再三書いてきました。そして、このことは日米同盟の終焉を意味します。このこともザ・フナイ11月号で書きました。
その代わりに出てくるのが英国(英連邦)でしょう。正確に書けば、明治維新以来日本は元々そうなのです。以下のように8月31日に英海軍の揚陸艦が南シナ海で、中国の領海を航行したということが問題になっています。英国は以前の米国と同じく「航行の自由」ということをいっています。今回の海自の行動もこの同一線上にあるでしょう。日本の軍国主義はこの英国と関わったところがすべて起こしています。
大西洋の英国は、太平洋に関与するなとはっきりと思いますが、元々太平洋地域の多くは日本や中国も含めて英国の版図ですから、いまだに100年前、150年前と同じ植民地的な動きを英国・英系金融資本はしているわけです。そういう所にTPP(英連邦経済圏。その核心は通貨と軍事)があるわけです。最終的に上海筋はこの版図に入る動きをして、この勢力はロシアとぶつかるようにされるでしょう。日英同盟下の日露戦争と同じです。日本海海戦で戦った旗艦・三笠などは英国製で、この一事を見ても英国にさせられた戦争であるわけです。150年前から実は何も変っていないのです。
トランプ大統領はこのTPPを蹴ったわけで、トランプ叩きの本質はここにあるわけです。

「英軍艦が南シナ海・西沙沖航行=中国、『強烈な不満』表明」(2018年9月6日 時事通信)

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◎ 拙著です

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内容は今まで見たことのない国際情勢と世界史の分析で、2024年の世界情勢の根本要因が書かれています。この本とザ・フナイの連載をトータルで読むと、ロシア・ウクライナ情勢、パレスチナ・イスラエル情勢及び中東情勢、東アジア情勢など現在の世界情勢の本質が見えてきます。もちろん、日本国内の情勢も見えてきます。内外情勢は決して別々ではない。
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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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