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立証責任
[日本の政治]
2017年9月13日 21時10分の記事

ちょっと前になりますが、岸田自民党政調会長が、先週報道された山尾志桜里衆議院議員の不倫疑惑報道について山尾氏は「説明責任果たしていくことが大事だ」と述べたと報道されています。

「山尾志桜里氏不倫報道 自民・岸田政調会長「説明責任果たしていくことが大事だ」(2017年9月8日 産経新聞)

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記事を読む限り、岸田氏がこの不倫疑惑報道にまつわることについてどのような説明といっているのかがよくわかりませんし、発言はかなり曖昧で、記事としてもはっきりしません。しかし、はっきりしていることは不倫疑惑報道があって山尾氏の説明責任といっていることです。
本ブログ「政治家としての判断を誤った」(2017年9月8日)で述べたとおり、山尾氏の不倫=浮気の疑惑問題は、当事者の男女二人とその家族の問題です。基本的に党則や議員の資格として浮気や不貞行為をしてはいけないとなっているわけではないので、不倫で議員辞職や離党というのは、通常あり得ないことと考えます。ただし、政治家としてのイメージは落ちますし、その政治家の人間性や責任感に疑問を持つ人は当然出てきます。そして、それは不倫当事者に対する国民個々人の評価になるわけです。もちろん、その不倫や不貞行為の程度や状況によって社会的な意味、政治的な意味はもちろん変ってきます。一概に全てが同じとは言えないでしょう。
今回の山尾氏についての報道は、ゴシップ的な内容といえども、山尾氏はその報道に対してきっぱりと否定をしました。山尾氏はその言葉を国民に向けて発し、その言葉に存在をかけました。政治家としての生命責任は果たしています。そして、この個人的な問題において政治家としてのポイントはここにあります。つまり、国民に対して真実を語ったか、嘘をついたかということです。今年はまさに政治家の嘘がテーマですが、政治家の嘘は国民への裏切りであり、腐敗そのものとなっていきます。政治家の国民の嘘が常態化すれば、確実に政治は崩壊し、国民が危機に瀕します。
山尾氏は不倫疑惑報道について否定し、それが、現状、山尾氏の答えであるわけです。したがって、山尾氏に説明責任はありません。記者に対する対応は、ことの真相と山尾氏の人間性を推し量る材料になっても、不倫の有無を決定するものではありません。不倫があったかないかは、現状、私も含めて憶測の範囲であり、個人の印象の話です。不倫という個人的問題に対する個人の印象の範囲です。そして山尾氏が否定している以上、自民党がそもそも疑惑として説明責任をいうのは意味はありません。岸田氏の発言は、自民党の様々な問題から焦点をずらすためと考えます。
ただ、山尾氏には国民の向けて言い切ったことの立証責任はあります。その立証とは言い切ったことが今後覆されることがないということです。本当のことは当事者しか普通はわかりませんので、当事者の言葉だけがポイントになりますが、それ以上のものが、第三者によって出されない限り、その言葉は有効でしょう。
しかし、今後、不倫が決定的になる情報が出てきた場合、その不倫行為ではなく、あくまでも国民への説明に嘘があったことが確実に問題となります。それは山尾氏を応援した人をも巻きこむことになるでしょう。民進党の政調会長として与党の嘘を追求してきたものが、自らの弁明において国民に嘘を言ってはしゃれになりません。

この立証責任は、当然、文春にもあります。山尾氏がきっぱりと否定したのですから、その否定を完全に覆すものを出さなければなりません。山尾氏の不倫相手がろくでもない奴というレベルではもちろん話になりません。仮に山尾氏の主張が正しければ、文春は確証がないゴシップ記事で政治家を葬るような無責任な記事を書いたということになります。それは、明らかに社会の利益に反することになり、社会的責任が問われます。現状、単に世間を騒がせただけの根拠のない悪質な記事である可能性は実は残っていて、このことが解消されない限り、文春のメディアとしての存続に関わることになります。
山尾氏が疑惑を否定したことによって、政治家として、メディアとして、どちらかが行き詰まる構図になっているのです。これは曖昧な形で終わることはないでしょう。

岸田自民党政調会長の「説明責任」という発言は、現状において言葉の使い方がおかしいと考えます。言葉の使い方をしらない政調会長というレベルなのでしょうか?
それに、今年は自民党にまつわる疑惑のオンパレードで、そのことに対して説明責任、立証責任が果たされていないと思う人がかなりの数いるでしょう。稲田前防衛大臣の答弁では、一度言い切ったことをあとから覆され、訂正することがありました。虚偽であり、国民を軽く見ている発言であったわけですから、本当ならこれだけで大臣辞任のはずですが、自民党はうやむやにしました。他、加計学園問題や森友学園問題、重婚問題、今井参議院議員問題等々、説明責任、立証責任を果たすべきことはいくらでもあると考える人はこれまたいくらでもいるでしょう。
岸田氏は自らの党がどう思われているか、わかっていないのかもしれません。普通に考えて、黙っていた方が得策であったのに、このような不用意な言葉でかえって火がついてしまったと考えます。

今回の山尾氏の件は、今後の展開によっては虚偽の説明の可能性があります。そして、それは民進党がその嘘を容認した可能性を示唆します。このことは、山尾氏の離党願いとそれを民進党が早期に受理したところにポイントがあると考えます。両者が早期の幕引きをはかった可能性があるわけですが、これは今後の展開によっては、国民への嘘ということが当然、ポイントになります。
この一年、民進党の自民党への追求が生ぬるい、即ち自民党の国民への嘘と思われることを、民進党が放置していたとかなり多くの人に思っているわけです。これは国民の利益に反することですが、前原氏の自民党に近い路線というのは、このようなことを示しているのでしょうか? 実は民進党にはこのことの立証責任があります。民進党は自民党のために動くのか、それとも国民のために動くのか? 明らかに今後の国会活動などで与党への政治姿勢が問われている状態です。
そして、民進党の党首になった前原氏は、二〇一二年の旧民主党政権転落後からこれまでの野党時代、表だって与党を追求したという記憶が私にはありませんが、旧民主党時代に代表であったときから政治家としての進化があるのか、その立証責任を早くも突きつけられていると考えます。野党党首として疑惑のオンパレードであった自民党の政治を、国民のためになる政治に変えるための力になり得るのかは、これから1ヶ月以内に立証する必要があるでしょう。それができなければ、民進党は壊滅的な状況に陥ることになるでしょう。

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片桐 勇治(かたぎり ゆうじ)プロフィール
1967年生まれ。東京都出身。中央大学法学部政治学科卒。高校がミッションスクールの聖学院高校で高校・大学時代は聖書研究に没頭。
大学在学中から元航空自衛隊幹部の田村秀昭元参議院議員の秘書、以来、元防衛庁出身の鈴木正孝元参議院議員、元防衛大臣の愛知和男元衆議院議員の秘書、一貫して政界の防衛畑を歩む。
2005年から国民新党選挙対策本部事務局次長、広報部長を歴任。2010年より保守系論壇で政治評論を行う。 yujikatagiri111@yahoo.co.jp
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