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¶二年目 17 剣の試合、当日
[¶二年目 17 剣の試合、当日]
2011年2月8日 15時49分の記事



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$「アースルーリンドの騎士」


17 剣の試合、当日


 続々と、生徒達が朝食を終え講堂に集まり来る。
皆練習用の剣を携えて。

大貴族達は皆自分専用の剣を、持っていたが他は練習場にある剣で済ます。
勿論、手に馴染まないのは言うまでも無い。

真ん中を明け、長方形の広大な講堂の、右から学年別に列を作り並び始める。

ヤッケルがそっと、不安げな表情を覗かせその光景を見守るシェイルの横で囁く。

「実力者達は全員まだだな?
…ローランデを除いて」

講堂では並び始める面々が、早々に講堂内入りし、居住まいを正すローランデを意識してチラチラと盗み見る。

ヤッケルの横の、フィンス迄もがそっとローランデに屈むと囁く。
「去年と違い、随分注目されている」

ローランデはフィンスの表情が心配げなのに、思わず微笑む。
「それでも勝たなければ、真の実力じゃ無い。

負ければ私に、その能力(ちから)が無かったと言うだけだ」

ヤッケルは感心してシェイルに向き直る。
「…だってさ!
落ち着いてら!」

フィンスとローランデは同時にそう言ったヤッケルに振り向き、くすくすと笑った。

が…シェイルはそっと入り口を見やる。
義兄ローフィスが入って来る。
オーガスタスの取り巻き達としゃべりながら。

けどオーガスタスの、奔放な赤毛靡く目立つ長身は見あたらなかった。

ローフィスはいつも学年最後の四人には残るものの、それ以上勝ち上がるのに興味無い。
「どうせオーガスタスが一番だ。
叶う筈が無い。

大事なのは無様に負けない事と
『こいつにだけは負けたくない』
相手に勝てれば、それでいい」

ローフィスの『こいつにだけは…』って相手は勿論、グーデン配下の男達の事だ。

幸い馬鹿力ばかりの男達だったから、ローフィスの器用な小回りに付いて行けずいつもローフィスは勝ちを取っていた。

練習用の剣は脆い。
幾度も力任せに振っていると、相手の剣を折る前に自分の剣が折れる。

勿論力任せの馬鹿力共の剣をまともに喰らっていたら、先に折れるのはこっちだったが。

 殆どが集合しざわめくその場に、ディングレーが姿を見せる。
いつも道理、三年の大貴族にその周囲を隙無くぐるりと、取り囲まれながら。

皆が学校勢力でも大物達のその一団に、敬意すら払い、見つめる。

が………。

「編入生はどこだ?」
「金髪の長身が居ない」

ヤッケルがそのざわめきに、肩を竦める。
「ギュンターとディングレーの対決をみんなそれは、楽しみにしてるんだな?」

フィンスとローランデがまた、おどけたその言いようにくすくすと笑った。

一年のアイリスが入り口から姿を見せる。
やはりその色白の美少年は
『高嶺の花』
と、上級生達のため息を誘ったが。

が当人はゆったりと優雅そのもので、落ち着き払ってる。
「…あいつ…見物だぜ?」
ヤッケルが言うとシェイルは反論した。

「だって、体が弱い。と聞いた。
一年のトップはやっぱり大貴族の、スフォルツァだろうって」

がヤッケルは、濃い栗色の緩やかにくねる長髪で色白の顔の周囲を覆う、済ましきった表情の気品あふれる美少年を睨め付け、囁く。
「…見かけ通りのタマじゃ絶対、無いさ!」

がフィンスが言った。
「奴もここに来る以上はそれなりに鍛えられてる筈だ。
腕はそれなりには確実に、あるだろうよ!」

確かに一年の中では長身に見えた。
が入学して年が経つにつれ、猛烈な勢いでその背を伸ばす上級生達からしたら、小柄そのもの。

ざわめきまくる中、ようやく学校のボス、オーガスタスがその長身の威風堂々とした姿を入り口から現す。

いつも道理その小顔の口の端に笑みを浮かべ、誰よりも高い背とその素晴らしい体格で一斉に注目を浴びても、気にする様子すら無い。

がその鳶色の瞳の奥には戦闘意欲が満ち溢れ、全身から滲み出る野生のライオンのような迫力に、皆が固唾を飲んだ。

次第に騒ぎは、収まりつつあった。

シェイルは列に並ぶディングレーを見る。

昨日アスランを託され、そのアスランを、試合に出ないグーデンに留守中に狙われては。と、講師の一人に預け、今朝ディングレーがこっそり忍んで来てマレーも頼む。と託され、二人が講師の元、無事居る姿を見ていたから、目が合うと無言で頷く。

途端、ディングレーは頷き返し気に病む事が無くなったとばかり、その気迫をいや増す。

堂とした体格の、押し出し満点のその気品溢れる王族の男前は、オーガスタスに継いでその存在感を見せつけているようで、皆が視線を引き寄せられた。

その後に数名がバラバラと、講堂内に駆け込んで来たが、その中に一年のスフォルツァの、姿もあった。

アイリスは自分の横に付くスフォルツァの息が弾む様子に、そっと顔を寄せて囁く。

スフォルツァは直ぐ気づいて、アイリスの顔が寄るのに、瞳を輝かせて頬を一瞬で染める。

アイリスはついそのスフォルツァの様子に周囲の好奇の視線が気になったが、視線はやっぱり吸い付き、噂話が耳に飛び込む。

「奴ら、デキてるって本当だったのか?」
「さぁな。
があの大貴族の坊やが御姫様に、大層イカれてるのは確かだ」
「その愛しい姫の前で、無様晒さなきゃいいがな!」
一斉に、くすくす笑い。

アイリスはそんな陰口すら耳に入らない、嬉しそうなスフォルツァの様子を目に、ぐっと堪え理性を保ち囁く。
「あの少年は?
無事迎えと共に、帰ったのか?」

途端スフォルツァは苦い笑みを何とか浮かべ、頷いて返答に変えた。

ラフォーレンが早朝血相変えて飛んで来て、つい眠ってるアシュアークを引き渡しながら彼に愚痴ったのを、スフォルツァは思い返し俯く。
「今朝は学年無差別剣の練習試合なんだ」

怒ってる自分の表情で察したのか、ラフォーレンはびっくりした後、済まなそうに囁く。
「ごめん…そんな大事な時に目を離して。
…大丈夫そう?」

スフォルツァはラフォーレンが悪くない。と思い出し、怒っていたのを罰が悪そうに隠しながらぼそり。と呟いた。
「睡眠不足は確かだ」

「早々に、眠らせた?」
その問いに、スフォルツァは頷く。

「今日は勝てそう?」
スフォルツァはぶっきらぼうに呟いた。
「学年一は、取るさ!」

ラフォーレンはびっくりしてまた、目を見開いた。
「丸で学年一は軽いみたいだ」
スフォルツァは頷く。

「一つ上は去年ディアヴォロスと対戦したローランデだ。
多分、歯が立たない」

ラフォーレンから見たら、自分ががっかりして見えたんだろう。
呆れたような表情で、まだ、言った。
「学年一で十分、凄くないか?」

が浮かない顔を上げたら、ラフォーレンが肩を竦めた。

だからそう…無様にローランデに、負ける様を晒す訳にはいかない。
が、負ける。と決まったような対戦に、正直気は重かった。

ドラーケンにさっきから刺すように睨まれていたが、気にも成らない。

一番の強敵、アイリスがその剣を存分に、使う体力を見せなかったから。
後マークするのはマレーと同室のラッツ。

身分は低いが、その剣は気迫が籠もり、勢いづかせると厄介な程戦闘センスがいい。

そして大貴族、銀髪のフィフィー。
本名はフィフィルースだったが皆、短く読んでいた。

年の割に感情表現が乏しく、がとても落ち着いた玄人肌の剣を使う。
打ち取る隙があまり見つからない、勝ちにくい相手だった。

が…。
それでもアイリスが存分に剣を使えば、一番の強敵はやはりアイリス。

護っているか。と思うと瞬時に攻撃に転じ、相手の隙を一瞬も見逃さずに的確に反応する剣は、見事だった。


 一年から四年の剣の講師達四人がずらり。と中央に並び、それぞれの受け持ち学年の生徒を見つめ、四年担当の講師が代表で告げる。

「今から恒例行事、学年無差別練習試合を始める。
この試合で勝った者は後日、『金の獅子』の称号を得、校長に賞される。

腕に覚えのある者は正々堂々、その力を発揮し『金の獅子』を目指せ!」

ぅおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!

全校生徒を飲み込む広い講堂が、どよめくようにその一斉に上げる声で揺れた。

一年達は上級生達の熱い熱波に飲まれたように、慌てて、あるいはおどおどと周囲を見回す。

「一年。前へ!」

講師のその言葉に、講堂入り口から直ぐに列を成していた、背の低くまだあどけなさの残る初々しい顔を覗かせた列が崩れ、おのおのが中央へと進み出る。

アイリスと並ぶスフォルツァは、上級生達の視線が一斉に、隣のアイリスへと注がれるのを感じた。
がつい習慣で、丸でアイリスへの好奇の視線を自分が遮り、護るように少し前へ出て胸を張り、全ての視線を弾き返す。

アイリスはスフォルツァの
『彼は俺の物だ』と言わんばかりに好奇の視線から庇う様子に呆れたものの、横四列に並ぶ皆の列に付いた途端、スフォルツァから離れ、振り向く彼に一つ、頷いて見せる。

全部が四十名以上居たから、一列は十人を超えていた。
講師が入って来ると、私用の剣を使う大貴族の者達の、剣を調べて回る。

二人いる講師とそれぞれ頷きあうと、一人が叫んだ。
「向かい合え!」

四列の中央に立つ二列がそれぞれ、背を向け会い、端の列の者と向かい合う。

アイリスは自分の正面が、同じ大貴族のミーリッツだと気づき、にっこり笑った。
がミーリッツは小声で囁く。
「お手柔らかに」

彼は明らかに、周囲をぐると取り囲む、体のデカい上級生達に見つめられている中での剣技に飲まれていた。

ニ・三度打ち合うが、てんで体が固い。
アイリスは済まない。とも思ったが、シェイムが心配する通り重しで剣を振ると直ぐ息が上がったから、隙を見つけ真っ直ぐ斬り込んで、一本を取った。

ミーリッツは喉にあっ。という間に一直線に刃を突きつけられ、負けて俯いたが、ほっとしたようにアイリスに、やっと微笑みを返した。

離れた隣に居るスフォルツァはとっくに終えていて、落ち着き払って剣の具合を確かめ、彼の対戦相手は自分の立っていた元の見物席に、戻って行っていた。

四列は勝者のみを残して二列と成り、その二列は再び向かい合う。

シェイルは皆が、アイリスとスフォルツァに注目を注ぐのを見た。
「ちっ!あっと言う間に終わったぜ?!
簡単過ぎてどんな手を使うのか、解らず仕舞いだ」
「その内ちゃんとまともに、打ち合うさ!」

次の相手は少し歯ごたえがあったが…それでもアイリスは体力を温存した。
最終八人に残れば、簡単に勝たせてくれない相手ばかりだから。

相手に剣を存分に振るわせ、一瞬の隙に斬り込んだ。
「おおっ!」

声が飛んだ。
がスフォルツァが自分を見つめているのでアイリスは、その驚愕の声は自分に向けられたのだと、知った。

『あんまり、目立っちゃまずいな…』
思いながらスフォルツァから視線を外すと、四年の列で、床に座って自分に視線を向けるオーガスタスと目が合う。

彼は、笑っていた。
アイリスはふい。と視線を外す。

そしてとうとう一列に成った時、途中半分は向かいに移って、再び向かい合う。

丁度12人居たから、六人ずつ二列。

アイリスの相手は幸いな事に、残った豪の者の中でも比較的腕の劣る大貴族のヨランデだったから、アイリスは彼の気迫の剣を避け続け、やはり息が上がる前に一瞬の隙を見て、剣を腹に突き立てた。

「其れ迄!」

講師の、鋭い声が飛ぶ。

やはり講堂中が、ざわめいた。
アイリスは息を整えようと俯く。

体力温存で一瞬でケリを付けたのが逆に、注目されてるようだ。
二年の、ローランデの視線迄感じた。

がスフォルツァはまだ、激しい戦いを続けていた。
無理も無い。
相手は銀髪の一族の大貴族フィフィルース。

その剣は隙無く迂闊に打ち込めば直ぐ、捌かれて討ち取られる。
スフォルツァは誘い込むようなフィフィルースの剣に良く、耐えて時折鋭い剣を交わしながら、いきり立つ自分を抑え、激しく成る攻防に良く、剣を合わせフィフィルースの攻撃を防いでいた。

が、押していたのはフィフィルース。
普段の無表情とは打って変わって、激しい闘志をその表情に浮かび上がらせてる。
あの冷静な奴をここ迄本気にし、攻撃させるスフォルツァは並大抵じゃなかった。

どれだけフィフィルースがスフォルツァの隙を付き剣を入れても全部、弾くか避けるか、止めて来る。

フィフィルースの、スピードが増し、その凄まじい攻防に会場が息を、飲む。
フィフィルースの怒濤の攻撃に、殆どの者は耐えきれず必ず体勢を崩す。

一瞬でも間に合わなければ、負け。
そしてその早さはどんどん、増して行く。

フィフィルースが一気に決めようと、激しい打ち合いの一瞬の隙に鋭い切っ先を突き立てたのを、スフォルツァは咄嗟に激しく剣を振り弾き飛ばし、一瞬で握りを返す。

スフォルツァのその断固とした剣に、フィフィルースは顔をしかめて横に大きく吹き飛ばされた剣を戻そうと、握りに力を込める。

が開いたフィフィルースの胸元に、剣を突き付けたのはスフォルツァが先。

フィフィルースは突き立てるきっ先を目に、戻し掛けた剣を握ったまま、目を見開き固まる。

「それ迄!」

スフォルツァの気迫籠もるグリングレーの瞳は切っ先を突き付けたフィフィルースをきつく睨み、その迫力はまさしく武人のそれ。

講堂中がその、年の割に完成された見事な戦いぶりにどよめいている。
フィフィルースはまだ目を、見開いていたが、スフォルツァの武人としての肝の据わった瞳に睨め付けられ、すっ。と剣を引く。

整った顔のスフォルツァの、剣を下げた時見せる静かなたたずまいと、一学年中でも背が高くしっかりした体格は、14の少年の域を超え16才相当に見えた。

が僅かに息を切らしていたのはスフォルツァの方で、フィフィルースは少しも呼吸が乱れてはいない。
が、フィフィルースは悔しげな表情をその冷静な顔の上に一瞬垣間見せ、それでも顎を引き、顔をすっ。と上げた。

勝ち残った六人は、待たされた。

負けた六人から、二人の勝者を迎える為に。

アイリスは横に並ぶ、スフォルツァを見た。
俯き、まだ微かに息が、弾んでいた。

肩を波打たせ、じっ…と息を整えている。
無理も無い。
フィフィルースは最終四人に残る腕前だった。

案の定、三組の戦う者達の中で、真っ先に勝ちを取ったのはフィフィルース。

二番目に勝ち上がった相手と直ぐ、対戦を始め、これにも難なく彼のスタイルで勝っていた。

最初は静かな剣合わせ。
が一瞬隙が出来ると途端、激しい攻め一に変する。

これをかわされても、フィフィルースの冷静さは崩れず怒濤の如く攻めまくり、相手は結果体勢を立て直せず崩れ落ちる。

さらりと真っ直ぐな銀髪が激しく波打つ様は丸で…神話の、戦闘の少年神のようで、その動きは隙無く美しい。

『無駄が、全く無い証拠だ…』
スフォルツァはその戦いぶりを見、内心呟いた。

二度目の対戦相手に勝ち、最終八名に入った時、フィフィルースは自分の戦いぶりを見物していた勝ち残り組六人の中に並ぶスフォルツァを、顔を上げ上目使いで見据える。

スフォルツァは顔を、上げていた。
まだ少し、息は弾んでいた。

フィフィルースは表情には出さなかったが、さらりと真っ直ぐな銀髪を背に滑らせ、少し俯くと吐息を、吐き出した。

スフォルツァはそんなフィフィルースを見つめながら、隣のアイリスに素早く呟く。
「彼と君だ。俺が万一この中で負けるとしたら…!」

アイリスは言葉が、出なかった。

が、端のドラーケンが怒鳴った。
「軽く勝ちを取れなかった、言い訳だな!」

負け組六人の中でもう一人、勝ち残り姿を見せたのは、やはり大貴族のシャウネス。

彼はそっ…と、勝ち残り六人の端に付く、フィフィルースの横に並んだ。


 最終四人を選ぶ対戦が、始まる。
正直ここからが、本番だった。

残る八人に上級生達の視線が一斉に喰い込む。
ラッツとドラーケンを残し、後は皆が大貴族。

八人は二列に分かれ、互いに相手を睨み合う。

アイリスの向かいに居た相手は、ラッツだった。
アイリスはその、そばかすの目立つ粗野な顔を見つめる。

その時シェイルは講師が付き添って、マレーとアスランが講堂入り口に姿を現すのを見た。
この目立つ場所でグーデンが、暴挙を働く事は不可能。と思案し講師が連れ出したようだった。

マレーはディングレーが自分に視線を注ぐ様子に気づくと、微かに頷く。
その可憐な美少年が、自分の雄姿を見に来たのだと解ったがディングレーは表情を変えず、頷き返しただけだった。

シェイルはアスランの視線を感じたが、つい中央に視線を振る。

一学年最終四人の、選抜戦が始まろうとしていた。

アイリスは正直、気迫籠もるラッツの顔に、勝てるかどうかを伺った。
彼になら負けても構わなかった。

どうする?
スフォルツァのみに負ければいいが、彼にも勝ちを譲るか?

が打ち合い始め、打ちかかるラッツの足を軽快に使った左右の大きな揺さぶりに、押され続けたのは確か。
覆すか?

が、みる間に息が上がる。
体勢を、整える間も与えず軽い剣捌きで右に左に、大きく揺さぶられそれに剣を合わせるのは正直大変だった。

姿勢が崩れた一瞬、瞬時に止めの剣を、ラッツが繰り出す。

止めようかとも一瞬迷い…が結果アイリスはしなかった。
その切っ先が、自分の胸元に突きつけられるに任せた。

ぉぉおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!

講堂中に、どよめき渡る声。
今度は間違いなく、自分が負けたせいだ。と解った。

あまり、無いに違いない。
大貴族が…しかも学年筆頭の大貴族が、一平貴族に負ける場は、この教練では。
どよめきはいつ迄経っても収まらず、負けた自分へ注がれる上級生達の視線は、痛い程だった。

スフォルツァはドラーケンと激しい打ち合いをしていたが、それでも驚愕に目を見開き、チラと自分に視線を投げていた。


カン…!
しつこいドラーケンの激しい剣を幾度も叩き落とし、スフォルツァは直ぐ斬り込んで来る次の剣をしなやかに身を倒し、避ける。

ドラーケンは丸で怒りをぶつけるように激しい剣を感情のまま叩きつけ、スフォルツァは合わせ、身を振り避け、また弾きながら、止めの剣を入れる隙を伺っていた。

「やっぱ一年坊主だな?」
「あんなに力任せに振ったら、先に剣が折れて負けるぜ…!」

その通りだった。
それ迄立て続けに激しい剣を、繰り出していたドラーケンの顔が一瞬歪む。
振った拍子に剣が柄の先で、横にぐらついたので。

それ以降明らかに、打ちかかる威力を抑えていた。
後二度…。
スフォルツァと今まで道理剣を合わせれば、折れるのは自分の剣だ。

ドラーケンの苦しげに歪む表情はそう、語ってた。

一気だった。
動揺を見せたドラーケンの、一瞬の隙に懐に飛び込んでスフォルツァがその剣を腹に、突き付けたのは。

ドラーケンはぐっ!とその俊敏な早業に息を飲む。

「それ迄!」

講師の声に、ドラーケンの顔が憤怒の表情に変わった。
悔しさを微塵も隠そうとせずに。

今度、勝った四人に残ったのはフィフィルースにスフォルツァ。
ラッツにそして栗毛のディオネルデス。

学年最終四人に残るに相応しい、相当の四人だった。

が、敗者達にも対戦が残されている。

アイリスは対戦相手が、スフォルツァに次いで自分に惚れている大貴族のアッサリアだと解ると、かなり困惑した。

横でドラーケンが、次の相手は自分だ。と意識し、剣を庇い戦う姿も見た。

ドラーケンと戦いたかった。
だから、アッサリアには勝たなくては成らない。

アッサリアはスフォルツァと違ってそれは控えめで、とても紳士的な少年だった。

次々に繰り出される剣はやはり、素晴らしいものだった。
良く鍛錬され、隙が無い。

が、これ。と言ってずば抜けた攻撃力が無いのも、確かだった。
だがとても勝ちにくい相手。

誘いの剣を余程鋭く入れないと喰い付いて来ず、熟練した剣捌きで軽くいなされる。
彼を浮き足立たせ、崩すには、真剣に成らねば無理だった。

が打ち合い近づいた隙に一瞬で剣を返し、下から脇腹を狙った時、アッサリアの顔が一瞬で真っ青に成って、咄嗟に繰り出した剣を避け後ろに跳ね飛ぶ。

ぉぉおおおおおおぉぉぉっ!

今のは、良く避けた。
アッサリアへの、そんな賞賛のどよめきだった。

アッサリアが一瞬にして、真顔に成る。

品良く束ねられた栗色の巻き毛が肩から滑り落ち、じっ…とアイリスを見据え、伺う。
アッサリアが次に繰り出す剣はそのどれもが、殺気すら帯びる程鋭い。

がアイリスはその剣に剣を合わせ止めながらも、ほっとした。

重しがある以上、派手に足を使う攻防は完全に不利。
だから手数が減れば、その一瞬さえ避ければいい。

フィフィルースとスフォルツァの視線が吸い付く。
二人とも、自分がアッサリアに負けると思っている。

チラと見た、講堂の窓の外から眺めるシェイムの視線もそう言っていた。
が、アイリスは横で、剣を庇うために手数を減らし苦戦するドラーケンを、睨み据えた。

あいつには、勝ちたい…!
何としても!
だから……………!

剣を引き、次の剣を繰り出す隙を狙うアッサリアの前で、アイリスは艶然と微笑んだ。
アッサリアは対戦相手の突然の、美しい微笑みにぎょっ。とする。

が直ぐ、柄を握る手に力を戻す。
勝利が目前なのは自分なのだ。と思い出して。

アイリスは微笑を浮かべたまま、ぐっ!と乱れる息を整え、アッサリアの殺気立った剣を舞踏のように優雅に、避けて見せる。

鋭い切っ先を突き出す少年にその注目株の学年筆頭美少年は、見事な足捌きと優雅な動作で、相手をいなすようにくるりと身を翻し、避けていた。

皆が驚嘆し、オーガスタスはくすくすと、笑い出した。

アッサリアは対戦相手の筈のアイリスが、剣の試合をしている。と言うより丸で舞踏を一緒に、踊っているかのように見えて目を、擦りたかった。

皆勝ちに目の色変えている。
こんな場で、ただ一人剣を携え舞踏を踊るのは、余程の度胸だ。

くるりとその場で繰り出す剣の切っ先を避け、肩を落とし身を返す。
さらりと焦げ茶の艶やかな美しい髪が宙を舞い、微笑む美少年のあまりの優美な美しさに一瞬見惚れ、アッサリアはつい柄を握る手から力抜けて剣を、振り損じた。
体勢を、崩したのだ。

アイリスは隙を見つけ一気に間を詰める。
剣を持ち上げようとするアッサリアの目前で、身を横に素早く鮮やかに回し真正面の対戦を避(さ)け、下げた剣を一瞬にして、斜め横下からアッサリアの背に突き付けた。

周囲にそれは、二人が交差して場所を入れ替わるように見え…が、アイリスは接近した途端向きを変え動きをピタリ!とその身を、止めたように見えた。

アッサリアの斜め後ろに張り付き立ったまま。
が、アッサリアすらもが動かない。

何が起こったのか解らず、上級生らは、ざわざわと騒ぎまくる。

「ぞっと…するな」
オーガスタスの低い呟きが、それでもはっきり、アイリスの耳に届く。

未だ正面を向き剣を握るアッサリアは、固まったまま。
斜め後ろでほぼくっつくくらい身を寄せ、アッサリアの背に顔を向けるアイリスも同様。

その突き付けられた剣はアイリスのたっぷりした衣装に隠れ、ある角度からしか伺い見る事が出来ず、周囲はどうしてアッサリアが動かないのかざわめきまくった。

が講師は叫ぶ。
「それ迄!」

アイリスがその声にすっ。と身を離した時ようやく、彼の手に握られた剣が、アッサリアの背にその切っ先を向けて突き付けられるのを目にし、講堂内がしん…。と、静けさに覆われた。

アイリスの表情にはまだ、優美な微笑が浮かんでいた。

皆が驚愕の内にアイリスのその優雅な立ち姿と、突き付けられた剣先が煌めく様子に視線を奪われる。

ヤッケルは鬼の首取ったように、隣のフィンスの肩を叩きまくってしゃべりまくった。
「見たろう!
あいつは大したタマだって意味が、解ったろう?!」

ローランデもシェイルも二人を見たが、話しかけられたフィンスは目前のアイリスより、ヤッケルが肩を叩く痛みに顔をしかめていた。

が、アイリスはすっ。と視線を次の対戦相手、ドラーケンに向ける。
静けさを湛えた濃紺の瞳で。

ドラーケンは一瞬、微笑に包まれたその美少年の瞳が、笑って無くて気圧されたように感じ、微かに身が震った。

スフォルツァは隣のラッツが、項垂れるように俯くのも見た。
アッサリアはラッツが、幾度も練習で勝ちを取られた好敵手。

同等…。
もしくは負けるかもしれない。
そう思ってる相手。

そのアッサリアに、アイリスは勝った。
この本番の場で。
見た事のない戦法で。

ラッツの中に疑問が沸き上がっても、無理は無い。
もしかしてアイリスはわざと自分に、勝ちを譲ったのか?と………。

スフォルツァも俯いて吐息吐く。
確かに…確かにアイリスは、足を使った揺さぶりに弱い…。

自分と打ち合ってた時でも、大きく揺さぶると必ず体勢を崩して隙を、作った。
が…。

多分それでもアイリスは打ち崩されない手を、隠し持ってる。
そんな気がして、ラッツに取りなせなかった。

が直ぐ次の対戦が始まっていた。

ドラーケンの激しい剣が再び、今度はアイリスを襲っていた。
足を使い激しく揺さぶって奇襲を掛けるドラーケンの戦法は、先ほど負けた相手、ラッツと同じ。

その上ドラーケンは力も強く激しい。
アイリスは今度こそは勝てないだろう。

誰もが皆そう、思った。
が二人が打ち合い始め、数秒だった。

講堂内で試合を見守る皆がその目を疑った。
一瞬の事で、動きの激しいドラーケンが固まったように静止し、アイリスが剣を突き付けている姿が目に、飛び込んで来たのは。

見ているのにまだ、訳が分からなかった。
物語のページが突然数十ページ飛んで、いきなり結末に成ってる。

そんな印象だった。

フィンスが横のローランデに顔を寄せる。
「持ち替えたな?
確かに剣を、右から左に」

シェイルもヤッケルも見ていると、ローランデは静かに頷いた。
「大変巧みに、それと気づく間すら無く」


オーガスタスは横のローフィスが、とんでもない喜劇を目にしたように愉快そうに、身を前後に揺すって笑いこけるのを呆れて見た。

くく…くっ…!

「…楽しそうだな?」
聞いてやるとローフィスは、笑い止まぬまま告げる。
「あんな小技を大貴族の…しかも学年筆頭が、大層優雅にやって見せるのを初めて見た…!

王道が大好きな偉そうな大貴族は、ああいうやり方を軽蔑するのが常なのにな…!

だがああ優雅に素早くやられちゃ、誰も文句を付けられまい…!」

くくっ…くっ!

オーガスタスは大きく肩を、竦めた。
つい、三年の前列に立つディングレーを見るが、ディングレーは予想はついてる。とばかり腕組んで、俯いて吐息を、吐き出していた。

アイリスは堪えていたが上がる息を、必死で整えた。
正直ドラーケンの剣を二度、止めたから腕がぶるぶると、剣と重しの重みで震えていた。

もう息切れが限界で、腕も限界だったから剣を咄嗟に持ち替えた。
がそれが功を奏し、持ち替えた瞬間気づいた隙に剣を、突き出した。

ただ、それだけだったがドラーケンは動きを止めた。
顔を見ると、息が止まりそうなくらい、驚いていた。

こっちも予想外のラッキーだったから、当人がびっくりするのも無理も無い。
こっそり講堂の外から伺い見ているシェイムに、思い切り笑いかけたい気分だった。

講師が
「其れ迄!」
と叫ぶ声も、固まったドラーケンを溶かす事は出来ないみたいに、自分が剣を下げてもまだ彼はそのままで居た。

が下げた剣を持ちドラーケンから離れながら顔を上げた時、講堂中の視線もドラーケン同様、固まったままだった。

次第に氷が溶け出したように、どよどよとざわめきまくる。
「何だ!あれは…!」
「どうなったんだ?お前、見えたか?!」
「どうして………!」

「何で奴が、勝ってる?!
押してたのは、あっちだろう?!」
「いつの間に、奴が勝ったんだ?!」

けたたましく皆が、事の子細を探ろうと周囲としゃべりまくる。

が、アイリスが顔を上げてオーガスタスを見た時、彼の横の友人が笑いこけ、オーガスタスはその友人を呆れ混じりに見つめながら、見てる自分に気づくと、にやり…!と笑顔を送った。

彼にはお見通しだったんだな。
思うとアイリスは肩を、竦めた。



が本番はこれからだった。

敗者組で一番に成ってしまったから、次の勝者組の、一番の敗者と四番目の地位を争う事に成る。

ともかくアイリスは、真ん中から避けて端に移ると、腰を下ろし休んだ。
息切れで死にそうだったから、この休憩は本当に、有り難かった。
講師が寄って来て
「まだやれるか?」
と伺う。

正直もう、負けてもいい相手ばかりだったから、ここで辞退しても構わない。
が………。

腕が鎧の重みで、痺れ感覚が無くなり始めてる。
腿にも鎧を付けていたから、この後戦うとヘタしたら、足がもつれる。

だから顔を、上げて言った。
「大丈夫です」

思い切りやっても勝てないだろう…。
ならせめて…やれる所迄自分を試すのも、いいだろう。

窓の外を見ると、シェイムと目が合った。
微笑ってやると、シェイムが肩を、竦めた。

スフォルツァがラッツと。
フィフィルースはディオネルデスと試合を始めていた。

堂とした態度の断固としたスフォルツァはラッツの気迫籠もる剣を良く、捌いていた。

時折、ラッツの右に左に、足を使う揺さぶりにも難なく剣を合わせる様は小憎らしい程の余裕で、上級生達をげんなりさせた。

更に一方的に仕掛けてくるラッツの剣の隙を狙って時折、鋭い剣先を突き入れる。

ひょい。と。

その慣れた熟練の剣捌きは、ラッツの本気を更に煽る。
さすが最終組。と言うだけの、見応えある対戦だった。

片やフィフィルースとディオネルデスの対戦も見事だった。
フィフィルースの激しい剣捌きに、ディオネルデスも崩れず良く、応酬する。

素早い足運びで突き入れて来るフィフィルースの剣を防ぎ、断固としてその勢いを断ち切る剣を時折入れるディオネルデス。

どちらも簡単に、決着が着きそうに無かった。

が………。

からん…!

剣が、途中で折れて転がる。
ラッツが折れた剣を呆然と見つめる。

スフォルツァの、勝ちだった。

アイリスは吐息を吐いて前屈みの身を、起こす。
スフォルツァと目が、合った。
彼は、笑っていた。

「…わざとだよな?今の」
オーガスタスとローフィスの間の後ろから、顔が覗いて友の一人、リーラスが二人に尋ねる。

ローフィスはオーガスタスを見たが、オーガスタスもローフィスを見、首を横に振った。
「ヤな技、使いやがるぜ」

オーガスタスのぼやきに、がローフィスは反論した。
「あれは狙わないと出来ない。
相手を叩かず、剣が折れるよう剣を叩く。
…相当練習を積んで来てるぜ?」


二年の席で、フィンスも唸った。
「…教練の試合でしか通用しない技をわざわざ、あれ程迄に磨いて来るか?普通」

ローランデが笑った。
「あれを教えた剣の講師は、その技が実戦で通用する応用編もちゃんと彼に、叩き込んでるさ!」

フィンスが、嫌そうに腕組みする。
ヤッケルがフィンスを見た。
「…だとしても、あいつと対戦するのは間違いなくローランデだ!」

フィンスは、そうだった。と腕を振り解く。
「あれを使われたら絶対に負ける。
どうする気だ?」

三人はローランデを伺い見るが、ローランデの微笑は崩れない。
「…スフォルツァは学年一は当然。
その後、上級生と戦い勝つ気だからこそ、あの技を磨いて来てる」

三人は、うんうん。と頷く。
「で?」
じれて、ヤッケルが先を促す。

ローランデはヤッケルに微笑みかけて言った。
「…私は教練での戦いは想定してないが、実戦で体格差のハンデを埋める方法を幾つも、学び身に付けている」

三人は互いを見交わし、フィンスが代表して言った。
「愚問だったな」

がついシェイルは、ローランデに尋ねる。
「だけど剣だけを狙って、折る技だろう?」

ローランデはもっと微笑う。
「普通に対戦すれば、剣だけを狙われたら大抵油断するものな」

フィンスが、ため息混じりに頷く。
「普通の剣士なら、自分に向かう剣に反応するのが当たり前。
実戦じゃ、あの程度の振りで剣は折れない。
教練の練習用の剣だから折れ、それで勝ちを取れるだけで」

ヤッケルがフィンスの様子にぼやく。
「教練で勝つだけの技を身に付けて来るなんて、非常識で馬鹿だと言いたいみたいだな?」

三人がヤッケルに、同時に振り向く。
「…そう言えばあれはヤッケルの十八番だっけ」

シェイルに言われ、ヤッケルがふんぞり返って腕組みする。
「…教練は四年間もあるんだぞ?
剣を折る技は、体格や力で劣る者にとっては有効な必殺技だ!

俺が不満なのは、あいつはどう見てもこの先デカく成りそうなのに、それでも身に付けてくるこすっからさが、気に入らない!」

三人は顔を見合わせ、くすくすと笑いこけた。


ディングレーは呻いた。
狙って見えない、ただの攻防の一振りで、剣が折れたのは奴にとって幸運。相手の不運に見えた。

つい内心で
『本当に狙ったのか?』
と自問自答した。

フィフィルースとディオネルデスが戦いの手を止め、一瞬スフォルツァに視線を注ぐ。

無理も無い。今の相手に勝てば、次に奴と当たるのは自分だ。

がはっ!と互いに向き直る。

どうやら目前の相手に勝たねばそれすら無いと、二人同時に思い出したようだった。
カン…!カンカン…!

先に勝ち上がったスフォルツァに遅れを取るまいとするように、両者激しく打ち込み始める。

フィフィルースは鋭く、ディオネルデスは激しかった。

ディオネルデスは濃い栗毛の細かな巻き毛を散らし、額の高く彫りのとても深い顔立ちで、端正な大人顔に見えた。

年よりうんと、年上に見える。
背もあったから、上級に混じると一年と、バレないだろう。

が対するフィフィルースも身長では、負けていない。
どっちもスフォルツァより、ほんの少しその高さでは勝っていた。

がどういう訳か…スフォルツァはどっしりし、大きく見える。
実力の伴う自信溢れる態度が、スフォルツァを大きく見せていた…。

アイリスは自分の後継者に選んだスフォルツァがつい自慢で、彼に見惚れた。

先に勝ち上がったと言うのに態度も変えず、二人の攻防を目前に、動揺も焦りも無い。

だが対戦している二人は突然はっ…と気づく。
フィフィルースに一度勝ってるスフォルツァは、もしフィフィルースがディオネルデスに勝ったとしても対戦する事無く自動で一位。

ディオネルデスが、勝つのは自分だ!とばかり、剣を振ろうとしたそれより早く、激しい一撃で剣を吹き飛ばしたのはフィフィルースだった。

からん…!

今度は折れたのではなく、剣が手からふっ飛んだ。
ディオネルデスは痺れた右手を、左手で押さえ俯いていた。

ハァ…ハァ…!

荒い息で肩を波打たせながら、フィフィルースは勝って振り向き、スフォルツァを睨め付ける。
がスフォルツァは静かな眼差しで見つめ返し、すっ…と背を向けた。

一位決戦無く、三位、四位決定の戦いのみで、ディオネルデスとラッツが戦いを始めていた。

アイリスに勝って上がったラッツは、この戦いでは間違いなく勝つだろう。と上級達の注目を集め始める。

そして既にラッツに負けているアイリスは、もしラッツがディオネルデスに負け、四位に成れば自動で五位。

勝ち上がり対戦は、消えて無くなる。

皆が自分に期待をかけてるのに、ラッツは内心驚いた。
皆、もう一度アイリスの戦いぶりが、見たいのだと解った。

正直、焦りもあった。
しかもディオネルデスはフィフィルースとの対戦後で、負けていきり立っていた。

ラッツが足を滑らせ、隙を逃さぬディオネルデスに、ラッツは一本を取られ勝敗は呆気なく決まった。

「其れ迄!」

講師の叫びに、講堂中がため息で満たされた。

学年一はスフォルツァ。
筆頭と思われていた注目株アイリスが、五位に終わって。

………が。

スフォルツァが講師に近寄り、耳元で何か告げる。
二人が自分を見ているのに、アイリスは気づいた。

講師はスフォルツァの腕を引いて説得しているようだった。
今度ははっきりスフォルツァの、声が聞こえた。
彼が、怒鳴ったので。

「アイリスと決着を着けられないなら、俺は一位を降りる!」

がこの言葉に、わっ!と講堂中から拍手と歓声が沸く。
「いいぞ!」
「それでこそ、男だ!」

フィンスもシェイルも同時に、ヤッケルを呆れ見た。
叫び、盛大に拍手で対戦を促し、囃し立てていたので。

ローランデを見ると彼は、顔を下げてこっそりくすくす、笑いっぱなしだった。

納得しろ。とスフォルツァの腕を引こうとする講師の手を激しく振り払い、スフォルツァは更に怒鳴る。

「この声が聞こえないのか?
俺より誰もが注目してるのはアイリスだ!

彼に勝たなきゃ真の一位とは言えない!」

「良く言った!」
四年からも、一斉に歓声が飛ぶ。

四人の講師は仕方無しに、集まると話合い始める。

そして…座っているアイリスの元に一年の講師はやって来て告げる。
「…やれるか?」

アイリスは周囲を見回した。
全員が、立ち上がっての大騒ぎ。
講堂中が、揺れていた。

「…やらないと、皆納得しないでしょう?」
講師は項垂れて一つ、吐息を吐き頷いた。


 スフォルツァが真正面から、見つめていた。
アイリスはやはり、微笑んだ。

がスフォルツァはその微笑に、一層表情を引き締める。
アイリスは内心肩を竦めていた。

「(自分も小技を、使うのにな…。
どっちが上か、どうしても試したいようだ)」

が、一年は皆、ひそひそとぼやいた。
「練習だって、一度もアイリスはスフォルツァに勝ってないのに」

アイリスは剣を下げたままスフォルツァの正面で、促す。
がスフォルツァの表情は固い。

その様子に、アイリスは内心呟く。
「(まるで森の中で、毒蛇に出会ったみたいだな…)」

が、右手はまだ痺れが取れないでいた。
ドラーケンの重く激しい剣は、剣を吹き飛ばされまいと握ると、半端なく堪えたから。

「(フィフィーとやってないのが、救いだな…。
ディオネルデスでも同じか)」
二人の剣は同様、鋭く激しかった。

連中とやった後なら間違いなくほんの二振り程度でスフォルツァに剣を、落とすか吹き飛ばされていたろう。

剣を、下げたまま伺うスフォルツァが動かなくて、講師が叫ぶ。
「始め!」

アイリスはスフォルツァを、微笑んで促すが、スフォルツァはまだ剣を下げたままその場を、動かない。

講堂中が、息を飲みシン…!と静まり返る。

スフォルツァは抱き合い…全てを知ってる筈の相手が、実は初対面で何も…何一つ知らなかったかのように、疑り深くアイリスの出方を伺っていた。

アイリスは仕方無い。
と一つ吐息を吐くと、息を飲みぐっ!と身を“気”で満たし痺れを押さえ込んで足を使う。

さっ!と剣を入れる。

二度。三度。

振っては下がる。

スフォルツァは一瞬つられて、剣を引くアイリスを、追いかけるように剣を突き入れようとし、突然はっ!として足を、止める。

アイリスは微笑っていた。

アイリスの、開いた隙に一気に、斬りかかろうとした。
が罠だと、瞬時に気づき歩を止めるスフォルツァの、カンの良さ。

アイリスは愉快で堪らなかった。
流石だ。

学年一に、彼程相応しい者は居ない。
そう印象づける戦いを皆の前でし、彼に負けなくてはならない。

が負ける方は問題なかった。
スフォルツァの実力なら、今の状態では自分は決して、勝てないだろうから。


「…どうした?オーガスタス」
ローフィスに訪ねられ、オーガスタスは首を横に振る。
「奴は勝つ気が無い。

勝敗の決まった戦いを見てもな…」

ローフィスはつい、中央の気品に溢れた、よく手入れされた濃い栗色の波打つ髪にその顔を囲まれ、大層色白で赤い唇の映える濃紺の瞳が美しい、大貴族の美少年を見た。
「…マジかよ………」

アイリスのやり様を見て、スフォルツァは意を決したように斬り込んで来る。

アイリスは二度、三度打ち合うと手が痺れ、足がヨロめいた。

スフォルツァがその様子に気づき、はっとして身を離し剣を下げる。

自分を気遣うスフォルツァにアイリスはすっ…と何気にスフォルツァに寄ると、いきなり下から突き刺す刃(やいば)にばっ!とスフォルツァが髪を振って一気に下がる。

アイリスは瞬時に間を詰めると、二度(にたび)逃げるスフォルツァの顔目がけて剣を、振った。

スフォルツァは飛び込んで来る切っ先に、顔を後ろに倒し避け、更にアイリスは一歩踏み込むと、体勢の崩れたスフォルツァの胴を思い切り、横に薙ぎ払った。

がつん!

急ぎ剣を引き上げぶつけ止めるスフォルツァ。
がアイリスはすっ…と剣を引くと横に両手を大きく広げそのまま頭上で合わせる。

やはり踊りの一振りのような優美な所作に一瞬緊迫を解く、スフォルツァの頭上から高速で剣が振って来て、スフォルツァは咄嗟にその剣に自らの剣を合わせ、ぶつけ止めた。

がつん…!

今度は大きな拍手が沸いた。

フィンスが、唸った。
「カンがいいのか…。
そうと見せない程巧みなのか、ともかく一瞬で決着を、着けに来るな…」

ローランデも無言で、頷いた。
「相手の隙を、見逃さない…。絶対に。
彼(アイリス)に隙を見せたら最後だ」

シェイルはごくり。と唾を飲み込んだ。
ヤッケルは腕組み直し、微笑を湛えたままの美少年を見やった。
「表情(かお)は微笑ってるのに、剣先は殺すのに躊躇い無しか」

三人が同時にそう言った、ヤッケルを見た。


アイリスは一瞬で剣を引くと、身を屈め剣を握り下からスフォルツァの、腹目がけ突っ込む。

スフォルツァが胸を開けて一瞬で後ろに跳ね飛ぶ。
直ぐアイリスは剣を切り返しスフォルツァの左肩口から胸にかけて斜めに剣を振り下ろす。

スフォルツァは咄嗟に身を捻り避け様直ぐに一歩前へ大きく踏み込み、剣を振り込むアイリス目がけ、同様お返しとばかり、相手の左肩口から斜めに、剣を振り入れた。

アイリスは瞬時に一歩下がり右足を軸に後ろに、回り避けて直ぐ、身を屈めると剣を持ち替え左手に握る剣を、真っ直ぐスフォルツァの、腹に突き出す。

がつん!

スフォルツァは直ぐ振り切った剣を戻しぶつけ弾く。

アイリスはそれをとっくに見切っていたように弾かれた剣をそのまま泳がせ直ぐ手元に、引き寄せたかと思うと右手に持ち替え、弧を描いて上へと引き上げ直ぐ様、振り下ろす。

スフォルツァは狙ったように剣に剣を、斜めにぶつける。
が正面のアイリスは笑った。

アイリスの、力が入っていれば剣は折れていた。

がアイリスは力なんか入れて無かったから、剣は弾かれて飛び、アイリスは飛びかける剣の握りを手を伸ばし掴み、再び左に鮮やかに持ち替え一瞬で、切っ先を前に、鋭い突きを喰らわす。

上級達はその、見応えある攻防にどよめき渡る。
どっちも、駆け引きで剣を使っていた。

一瞬、読み違えれば討ち取られる。

スフォルツァは正直、体がざわめいて仕方無かった。
だからだ…!

アイリスとの時があれ程特別で甘く、感じられるのは…!
こっちが彼の、本性だから。

腹に突き出されるアイリスの剣を、がスフォルツァはもう後ろに飛んで避けるのはごめんだ!とばかり、大きな振りで叩き落とす。

剣が、ぶつかる瞬間アイリスは力を抜く。

手に伝わる振動を、最小にする為に。
正直息が切れて死にそうだった。

腕も腿の、筋肉が悲鳴を、上げていた。
が…。
まだだ。
まだ………!

アイリスは手から滑り落ちて行きそうな剣を握り止め、息を弾ませ胸を開けて後ろに、下がる。

スフォルツァが止め。とばかり、身を屈め突っ込んで来る。
アイリスは微笑った。

俺のこれを止められなければ、学年一を名乗る資格は無い。と言うように。

スフォルツァは突っ込みながら一瞬目を見開く。
どっちだ?
剣は確か左手に握られていた筈だ…!

が………。
スフォルツァの、顔が歪む。

アイリスの剣は今や右手に握られ、彼は甘やかな微笑を湛え待ち構えていた。
罠だ…!

スフォルツァは迷った。自分も持ち替え、奇襲をかけるか?
が、間に合わない!
アイリスが頭上から剣を振る。

身を屈める自分の、首から背を先にばっさり殺る気だ!
このままだと、アイリスの剣が先に届く。

実戦なら自分の身を危険に晒す、ほぼ相打ちで勝ちを取るだなんてマネは決して出来ない筈だ!

自分が先に相手を斬ったとしても!
俺を確実に止められる、保証無く自分もばっさり斬られる戦法なんて!

が練習試合は間違いなく、先に剣の、届いた方が勝者。

リーラスが、後ろからオーガスタスとローフィスの肩に左右の腕を乗せ、交互に顔を覗き込む。
「お前らなら、どうするよ?」

ローフィスが唸る。
「俺なら横っ飛びだな」
リーラスが顔を振る。
「間に合うか?」

オーガスタスが声を落とす。
「スフォルツァは逃げる、気が無い」

咄嗟に、スフォルツァは牽制掛けるように弧を描き剣を下から上へと振る。

アイリスの微笑は消えない。
振った剣をさっと引き胸前で一瞬に交差させて左に持ち替え、その切っ先を尚も突っ込んで来るスフォルツァめがけ突き刺す。

アイリスの懐目前で、スフォルツァは右足を一瞬で止め軸にし、身を真横に大きく開いて突き出す剣を避け直ぐ、強く柄を力を込めて握り込むと、アイリスに向かって真っ直ぐ、突き刺した。

がっ!

解ってた。
アイリスは間に合うだろうと。
自分の剣を、止めるのに。


が……………。

からん………!

音を立て、折れた剣が床に落ちる。

真っ直ぐ上に剣を立て突きを防いだ、アイリスの剣が途中でぽっきり…………折れていた。

どっ!

息詰まる攻防から解放されるように、観衆が一斉に声を上げる
全員がそれぞれの意見を大声で、叫び怒鳴っていた。

「あんな決着があるか!」
「解らないのか?!
剣を折るのはあいつの技の一つだ!」

「そんな事、出来る訳無いだろう?!」
「アイリスは一切余分な力を入れてない!
奴の剣が、折れる筈無いんだぞ?!」

それが耳に届いた時、アイリスはその通りだ。と顔を下げた。
最後の最後でスフォルツァは標的を、自分で無く剣に変えた。
ほんの、一瞬で。

まずい…。
ヘタをすると酸欠でぶっ倒れる。

ずっと、筋肉の痛みを耐える為に息を、詰めていたから。
剣が、手から滑り落ちるのが解った。

目前が暗く、成る。
スフォルツァの慌てる顔が、暗くなる視界の中心に見え、目眩に目を開けていられず目を閉じると、背を、がしっ!と抱き留める感触に、アイリスはスフォルツァに抱きかかえられたと感じた。

スフォルツァは両手を広げたまま、抱き留めようとした主が、突然現れた別の腕にその背を、抱きかかえられるのを目前で見、呆然とした。

長身の美男。
アイリスの従者、シェイムだった。

シェイムは直ぐ、ぐったりとするアイリスを抱きかかえ、駆け寄る講師に叫ぶ。
「試合中の乱入、お詫び申し上げます!

ですが主人は今朝から微熱があり、あまり体調良く、ありませんでしたのででしゃばる無礼、ご容赦願います!」

きっぱりと、大人の口調でそう叫ばれ、スフォルツァは広げた空虚な両腕を、ため息とともに下げた。

「熱が…?!」
一年の講師が慌てて横に駆けつける。
がシェイムが素早く告げる。

「私は医者としての知識もございます。
この後の事は私にお任せ頂けますか?」

「彼の容態はいつも君が?」
シェイムが、頷く。

試合終了直後倒れたアイリスに、皆が心配げな視線を注ぐ中、オーガスタスは苦笑した。

あんな鎧を着けて試合。
しかも、ぶっ倒れる迄やり切る。

…どこ迄馬鹿なんだ?
大貴族の何不自由しない、お坊ちゃんの癖に。

今度はオーガスタスがくっくっくっ…。
と声を立てて笑い、倒れるアイリスを眺めローフィスは親友に呆れた。

「どうしてここで笑う?」

が返答無く、愉快そうな親友の、笑い声が返って来るばかりで、ローフィスは笑い続ける大柄な友の身が小刻みに揺れるのを見て、思い切り肩を、竦めた。



 従者シェイムの腕に抱かれる、気絶した美少年は可憐、そのもの。
講堂中の、同情を集めた。

「…体が弱い…って、本当だったんだ…」
「ああ…。あんな凄い、使い手なのにな…」

講師が頷き、シェイムがアイリスを抱いたまま講堂出口に歩み始めると、拍手が沸いた。

さざめくように。
良く、戦ったと。
讃えるように。

シェイムは腕の中の、酸欠で真っ青な顔色で、それでも微笑を浮かべ気絶する主人を呆れて見た。
「まるで拍手が、聞こえておいでのようだ………」

皮肉だったが、やはり気絶してる彼の主人は返答を、しなかった。











つづく。
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『北領地[シェンダー・ラーデン]の恋人』
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王冠1 アースルーリンド 王冠1
宝石緑『幼い頃』
 三人の子供達と騎士のお話。
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宝石白『ファントレイユとの出会い』 
 大人のファントレイユが近衛で大活躍してます!
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 入学したてのファントレイユに貞操の危機が?
宝石緑『野獣のうぶな恋心』
 天然テテュスに惚れ込む、遊び人のグエンの翻弄される恋心
宝石紫『ゼイブンの夢。』
 ファントレイユの教練入学でゼイブンがパニック!
宝石白『確かなもの』
 ギュンターの生い立ち
!!18禁BL!!
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『[シェンダー・ラーデン]の恋人』『二年目』

ギュンターとローランデの始まり…。『二年目』
そして終わり『[シェンダー・ラーデン]の恋人』

宝石赤「アースルーリンドの騎士」ギュンターとローランデ『仮初めの時間』
 「幼い頃」アイリスの屋敷に来る前の
ローランデとギュンターのお話。

宝石赤「アースルーリンドの騎士」ギュンターとローランデ『卒業』
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宝石赤「アースルーリンドの騎士」ある日の出来事
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ナゾの人『Memory of Haruka or the far past』
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「アースルーリンドの騎士」-ブロくる
天野音色 さん
「アースルーリンドの騎士」
地域:愛知県
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ジャンル:趣味 漫画・小説
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オリジナル小説「アースルーリンドの騎士」
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